【感想】ブラックパワー・ミックステープ~アメリカの光と影~

さてみなさん、今回は、最近見た映画についての感想です。

 

GYAO!で見られる映画を探していたら、気になる映画を見つけました。

 

gyao.yahoo.co.jp

 

無料視聴期間は1/8 までらしい。

光の裏には影がある。そんな影に焦点を当てた作品。

 

1/9追記:GYAO!のWEBページを貼っていましたが、視聴期間が終了したためリンク切れとなってしまいました。

▼こちらの映画です。 

www.cinematoday.jp

(以上追記終わり)

 

シネマトゥデイからの解説によると、

約30年もの間、スウェーデンのテレビ局に保存されていたアメリカのブラックパワー運動の希少な映像を再編集した衝撃のドキュメンタリー。それらを発見したゴーラン・ヒューゴ・オールセン監督が、1960年代から1970年代にかけての激動の時代を浮き彫りにする。歌手のエリカ・バドゥら、現在アメリカで活躍する多数の著名人がコメントを寄せた。差別や貧困にあえぎながらも、市民権と平等を得るため戦った彼らの姿が感動を呼ぶ。

アメリカに奴隷として連れて来られたアフリカ系アメリカ人たちは、長い間差別を受け続けてきた。その屈辱の歴史を変えるべく、1960年代後半から1970年代にかけて、彼らは市民権の適用と人種差別の解消を求めて団結する。マーティン・ルーサー・キング牧師やマルコムX、アンジェラ・デイヴィスらは、本物の自由を得るためにそれぞれのやり方で活動を続けた。

解説・あらすじ - ブラックパワー・ミックステープ ~アメリカの光と影~ - 作品 - Yahoo!映画より

 

 

まず感じたのは、僕は人種差別問題について知らないことだらけだったな、ということです。

1960年代から1970年代にかけての激動の時代。忘れないうちに、この映画を通じて知ったことを大きく2つほど記しておきたいと思います。

 

 

非暴力の限界!?

  

キング牧師は、人種差別問題を解決するに当たり、非暴力を訴えました。

『非暴力こそがアメリカの黒人の利益になる』

『非暴力に徹して苦しみに耐えていれば、相手がそれを見て痛みを理解し、やがて心を動かされて考え方を変えるだろう』

これは、ガンジーの非暴力主義の影響を受けているとのこと。

しかし、

『非暴力で相手を動かすには、相手に良心が必要だ。アメリカに良心なんかない』

と、差別撤廃闘争の指導者、ストークリー・カーマイケルは言う。

 

そして、ブラックパンサー党という平和を理念に掲げた武装政治組織ができる。

ここでのポイントは、武装までして危険な集団ではなのか?という考えについて。

もちろん、どちらの側であろうが、いかなる理由があっても人を傷付けるのは良いことではない。

しかし、いつまでも続く暴力に非暴力で立ち向かい続けられるほど人は強くない。

武装なんて、やりたくてやっているわけではないはずだ。

 

また、活動家アンジェラ・デイヴィスも、自分たちが黒人というだけでどれだけ尊厳を傷つけられ、命すら軽視され弄ばれてきたか、ということを訴える。

そんな私たちに、「あなた達は、暴力を認めているのか」と、どうして言えるのかと。

 

このインタビューのシーンはものすごく考えさせられます。

暴力を解決の手段にしてはいけない。キング牧師もそう言っているし、それはそうだが、それだけではやりきれない。僕なんかでは到底計り知れない苦悩が溢れている。

 

人種差別を受ける側も暴力で対抗してしまうことについて、

ほらやっぱり、黒人って怖い。だから行動を管理して弾圧し続けなければ。自由を与えるなんてとんでもない。と、相手の思惑に乗っかってしまわないか。一部の差別主義のマスコミの餌食になってしまわないか、そしてそういった世論が広まっていかないか。黒人側が起こす防衛のためのちょっとした暴力が白人のそれよりも大きく報道されるのは想像に難くない。結果的に差別が広がってしまうのではないか。実際映像の中で、スラム街を白人ばかりが乗ったはとバスのような観光バスが通り抜けるシーンがあり、バスガイドはスラム街にたむろする若者たちを指して、この麻薬に汚染された者達がいかに危険か、暴力的かと乗客に説明する。一部の良心のないアメリカ人達の思惑通り、黒人=乱暴・危険 という作られた常識が流布されていく。

だからといって、非暴力を貫き殴られ続けるのが正しいのか。それが無駄だったことはすでに証明されていたからこそなわけで。影は深い。

 

 

スラム街に麻薬(ヘロイン)を持ち込んだのは誰?それはなぜ?

 

スラム街に蔓延していく麻薬(ヘロイン、クラック)。この映画では1974年頃のスラム街の状況について取り上げられている。日常的に麻薬中毒で亡くなっていく住民たち。13歳から15歳の若者が病院に担ぎ込まれるケースが多いという。

日々麻薬患者が運ばれてくる病院の医師は、麻薬の流通に一役買っているのが白人なのだという。

60年代に色々なものの見方や価値観が変わった。そして、「ブラック・イズ・ビューティフル」という言葉が流行ったり、ブラックパワー運動やアフロヘアも生み出され、黒人たちが自分たちを取り戻そうという運動が盛んになってきた。そういった流れをストップさせるために用いられたのが麻薬だったというわけだ。

黒人たちの居住区に麻薬を蔓延させて街ごと破壊する。麻薬を手に入れるにはお金が必要だが、お金はない。でも麻薬がほしい。どうするか?街は当然(思惑通り)めちゃくちゃになる。

 

元陸軍兵士の話。

66年(おそらくベトナム戦争時)、戦場での不安感からヘロインにはまる兵士たちが大勢いた。戦死者となってアメリカに帰ってくる兵士たち。

『遺族は敵にやられて死んだと思っているが、実際はヤクにやられて死んでいった』

そんなことは新聞には載っていないし、偉い連中は知っていたが公表はしない。

 

また、帰還できた若い兵士たちは麻薬の中毒症状を抱えていたということも珍しくなく、それが黒人社会に深刻な影響を及ぼして地域の麻薬問題に発展した。

『これほど麻薬が広がった背景には間違いなく政府とCIAの関与があるはずです』

『麻薬が蔓延したことで、黒人社会は様変わりして、多くの黒人から闘争心と革命への欲求が失われました』

 と、アンジェラ・デイヴィスは言う。

 

なぜ、貧しい地域であるスラム街に安価では手に入らない麻薬が蔓延しているのか。

そして街が崩壊し、黒人たちの闘争心や革命への欲求が失われていくことで誰が得をするのか。そういったことを考えると、見えてくるものがありそうです。

麻薬に手を出してしまうような状況を作って、麻薬に手を出させる。こんなことが政府ぐるみで本当に行われていたのだとしたら……そんなことは考えたくもないですが、『アメリカに良心なんかない』というストークリー・カーマイケルの言葉が蘇ります。

 

  

自由の国アメリカ。その光と影。

アメリカンドリームという言葉がある。しかし、そのスタートラインにも立たせてもらえない差別を受けている人たちが今も存在する。教育を受けられるどころか、今日、明日食べるものもない子どもたちが大勢いるということが描かれていく。本当にその影は深い。

 

  

以上、この映画を見ての個人的感想でした。

差別、反戦、弾圧、麻薬などなどの影の部分に焦点を当てた映画。

これは遠いアメリカだけの話ではない、考えさせられる良い映画でした。

 

 

 

 <参考に>

 

ブラックパワーとは

ブラック・パワー(ブラック・パワー)とは - コトバンク

 

キング牧師

マーティン・ルーサー・キング・ジュニア - Wikipedia

 

モンゴメリー・バス・ボイコット事件 - Wikipedia

 

ストークリー・カーマイケル

ストークリー・カーマイケル - Wikipedia

 

マルコムX

マルコム・X - Wikipedia

 

ブラックパンサー党

ブラックパンサー党 - Wikipedia

 

アンジェラ・デイヴィス

アンジェラ デービスとは - コトバンク

 

 

 

 

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▲映画のポスター

映画『ブラックパワー・ミックステープ~アメリカの光と影~』 - シネマトゥデイより

2017年にやりたいことと、初めての雅楽見学

今週のお題「2017年にやりたいこと」

 

   本州最南端の町串本町

   東京ゲーテ記念館公式サイト

  • 筏釣りがしたい

     筏釣り - Wikipedia

 

本州最南端の潮岬(しおのみさき)は行ったことはあるのですが、もう一度訪れたいですし、ついでに「太地町立くじらの博物館」と「熊野本宮大社」にも寄ってみたい。

東京ゲーテ記念館は、高校生の頃に(四半世紀ほど前)、阿刀田高著「夜の旅人」を読んだ時からずっと行きたいと思っている場所。

筏(いかだ)釣りは、和歌山あたりで、海と山の景色を眺めながら釣り仲間とひねもすのたりのたりと過ごしたい。

沖縄は、10数年前に伊計島というところに出発する予定が台風で中止になった経緯があり、結局一度も沖縄に行ったことがない。今年行ける機会が訪れるかも…!

 

こうしてみてみると、やりたいことは旅行がメインであることが分かります。書き出してみてわかることもある。おもしろいものです。

 

いずれにしても、休みがないとなあ。

2017年の目標は、まずは有給休暇を積極的に取る、ということを掲げないとな。

 

 

 

 

初詣に行ったら雅楽見学ができた

 

もうひとつ、正月らしい話題を。

 

1月3日は正月休みでした。実家からの帰り道、そういえば初詣に行ってなかったなと思い、国道26号線沿いにある、泉佐野八幡神社に寄りました。

 

偶然知ったんですが、当日に雅楽のイベントがあるみたい。

あと10分で始まるらしい。

 

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境内に張り紙がありました。

雅楽?何をするのかも分かっておらず、さして興味もなかったんですが、もうすぐ開演だし、せっかくなので見てみようということで、本殿に上がり込みます。

前から三列目に座り拝見しました。年配の観覧者がほとんどでした。

 

雅楽というだけあって、雅(みやび)やかな音楽。

 

そこで、笙(しょう)という楽器を知りました。

この笙という楽器、管楽器なのですがこれがすごい。オルガンのようなハーモニカのようなバイオリンのような(?)多彩過ぎる音色に魅了されました。

約1時間の演奏会。雅楽に合わせての舞もありました。

 

www.youtube.com

これが笙です。

不思議な音色。

 

鴨長明方丈記「ゆく川の流れ」という曲が気に入りました。

他にもメロディアスな心地いい曲もあったんですが、曲名は忘れました。

なんば雅楽会さんのCDも販売されていたんですが、買っておけばよかったな…

 

まあそんなわけで、はからずも正月らしい体験をさせていただきました。

(たまたま寄った神社で、たまたま雅楽の演奏会を見学できるなんて、新年早々ちょっと神ってる?)

ありがとうございました。

 

 

 

雅楽動画

 

 

www.youtube.com

 

 

笙 煤竹本節 (本管 総銀金具)

笙 煤竹本節 (本管 総銀金具)

 

 

 

もてラジの お年玉かな 春の夢

みなさん、あけましておめでとうございます。

 

お正月と云えば炬燵を囲んでお雑煮を食べながら歌留多をしていたものです。

 

とかなんとか。

何はともあれお正月。春よ来い。

 

 

年末年始、いかがお過ごしでしょうか。

 

僕はといえば、お仕事三昧の年末年始となってしまいました。

年中無休の会社に勤めておりますゆえ。

 

30日から2日までガッツリ仕事。

大晦日は日付が変わった後も仕事、仕事納めと仕事始めを同時に迎える事となりました。

大晦日、年が明けたあと家に帰り4時間寝たらまた仕事に向かうわけ。

まあ、これが初めてってわけでもないし、慣れっこ。

任務は遂行する。部下は休ませる。名ばかり店長のつらいとこだな。

そんなわけで、大脳新皮質がかなりお疲れの様子。

 

愚痴を言いたいわけでも、仕事つれーわ自慢をしたいわけでもありません。なぜなら、もうとっくの昔に正月気分なんて忘れてしまっているからだ。

でもでも、ほんとはちょっと寂しいわけで。

 

だが、今年の年末年始はちょっと違う。寂しくないもん。なぜなら、

 

もてラジが大晦日に大量更新されたのだッ!

 

moteradi.com

もてもてラジ袋とは | ネットラジオ BS@もてもてラジ袋

 

12月26日にも大量更新があったばかりで、この年末年始は、通勤での往復2時間半、車を運転する間もてラジ三昧。

 

年末商戦のラストを飾る年の瀬、いつもより不安の入り交じるこの時期に、もてラジを聞きながら出社できる喜び。予算は?昨年比は?欠品は?クレームは起きないだろうか?などなど得も言えぬ不安感も、もてラジを聞いている間は吹っ飛びます。

 

そして、年が明け、街はお正月ムード。家族連れで賑わう街。一家を乗せて行き交う車。俺には正月なんてない。もう慣れっこだろ?何も感じるなと自分に言い聞かせ向かう職場。

そんな職場への行き帰り、まだ聞いていないもてラジのストックがたんまりとあったとしたら?

通勤。そう、もてラジを聞きながらの通勤!仕事が休みだったら家族サービスに追われ自分の時間はない、ゆっくりと聞く間はないだろう。ああ、仕事でよかったなんて言ったら大げさかもしれないけど、これだけは言える。職場への行き帰り、配信されたばかりのもてラジが僕のこの年末年始を楽しいものに変えてくれた!行き帰りで生き返り!?

 

 

繰り返しになるが、もてラジ主催のぶたおさんが年末に放送を更新してくれた、そのことが僕の年末年始をより楽しいものに変えてくれた。配信されて嬉しかった。なんか頑張れそうって思わせてくれたのだ。(今回の配信のタイミングと僕の聞きたいと思うタイミングがたまたま合致しただけであることは理解しておりますし、もちろん配信を急かしているわけでは決してありません)

 

放送を聞いての感想も書きたいのですが、今回はこの辺で。

 

以上、勢いにまかせて書いていたら、もてラジ様のおかげで仕事三昧でも楽しい年末年始となりました。という話になってしまいましたが、

 

じつは、書こうと思っていたのはこれなんです。

コレ→今週のお題「2017年にやりたいこと」

それは、また時間があったら書くことにしよう。

 

それぞれのお正月。楽しいスタートが切れるといいですね!

2017年、みなさまに幸せなことが訪れますように。

 

ありがとうございました。

 

 

 

タイトルにある「春の夢」って、大した意味は無いですので。

ハンドルネームと新春と夢うつつなのを無理やりこじつけただけです。

 

 

 

 

与謝野晶子記念館に行ってきました

大阪は堺市、フェニックス通り沿いにある「与謝野晶子記念館」を訪れました。

 

www.sakai-rishonomori.com

与謝野晶子記念館 | さかい利晶の杜

 

 

まずは、与謝野晶子さんについて簡単におさらい。

 

与謝野晶子さんについて

 

与謝野晶子さん(1878-1942年)については学校で習った程度の知識しかありませんでした。

家にあった小学生用の社会科資料集によると、

 

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与謝野鉄幹、明星、みだれ髪。学校で習ったな

 

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日露戦争の戦場にいる弟を思い詠った「君死にたまふ(も)うことなかれ」

当時の日本でこれを詠んだ与謝野晶子さんの強い心に感服致します

戦後70年以上過ぎた今の日本にも、いや、今の日本にこそ必要な詩。忘れてはいけない詩

 

 

いざ、与謝野晶子記念館へ

 

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ロビーに「文豪ストレイドッグス」のパネルがありました。コラボ企画開催中みたいです。中央の和服の女性が与謝野晶子さん

 

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チケットを購入し中へ

与謝野晶子さんは堺出身で、京都、東京と活動場所を変えたそうです

 

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壁にプリントされた写真

 

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書斎を再現した展示物

 

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「晶子の装幀」コーナー

  

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「みだれ髪」。初版も展示されていましたが、初版の方は撮影禁止でした

 

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ご存知「明星」の創刊号復刻版。復刻版ではなく、初版本も展示されていましたが、そちらも撮影禁止でした

 

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「君死にたまふことなかれ」

壁には、与謝野晶子さんが残した言葉の数々

 

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「女性の力の及ぶところ はじめて平和の光あらん」

たしかに、男女別け隔てなく平等であってこそ、その先に平和が訪れるのだと思います

 

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12人の子どもを出産した与謝野晶子さん

4男のアウギュストという名前の由来は、フランス・パリの、ロダンの「考える人」のオーギュスト・ロダンからとったそうです。パリ旅行中に妊娠がわかったからということらしい

  

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館内の壁にプリントされた写真

 

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文豪ストレイドッグスとのコラボ、かなり力を入れているようで他にも幟(のぼり)が立っていました

 

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能力名「君死結勿」

 

何?と思って調べてみたら、

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https://matome.naver.jp/odai/2145832273182832601

怖いって。そんなキャラ設定だったのかッ!?

 

 

 

以上、ほんの一部でしたが、与謝野晶子記念館の紹介でした。

 

ほかにも、撮影禁止の貴重な展示物もいくつかあります。

興味を持たれた方は、訪れてみてはいかがでしょうか。

路面電車阪堺線宿院駅より徒歩一分です。

アクセスについて | さかい利晶の杜

利用料金 | さかい利晶の杜

 

与謝野晶子 - Wikipedia

与謝野鉄幹 - Wikipedia

明星 (文芸誌) - Wikipedia

 

 

広島電鉄のここがすごい!「広島電鉄、短時間勤務制導入へ」

さてみなさん、ラジオで朝のNHKのニュースを聞いていたら、あるニュースが耳に止まりました。

そのニュースを聞いて、えっ、凄い!という衝撃が2度おとずれました。

何が凄いと思ったのか、その2つについて述べたいと思います。

 

こちらのニュースです。

www3.nhk.or.jp

 

広島県路面電車やバスを運行する会社が、本人の希望に沿って安定して働ける環境を整えるため、すべての正社員を対象に、所定の勤務時間を柔軟に短縮できる制度を来年度にも導入することになりました。

 

現在は週40時間としている正社員の所定勤務を一定期間、柔軟に短縮できる制度で、例えば「1日3時間だけ働く」とか「午後3時以降に働く」という人でも正社員として働き続けることができます。

 

別に普通やん。

僕の勤め先だって育児や介護での離職を減らすため、正社員短時間勤務制度のようなものはあるし。

と思っていたら、そんなのまだまだ甘いって思わされました。

 

 

広島電鉄のここがすごい!<その一>

 

制度を利用する際に理由は問わないこととし、子育てや介護に限らず活用できるうえ、希望すればフルタイムの正社員に戻ることも可能です。

 

発表によると、理由は問わないということです。これって凄くないですか?僕には衝撃でした。

育児や介護をしていないといけない。病気のためフルタイムでの労働は出来ない。など、会社が精査し許可した場合に限り、正社員でも短時間勤務制度あるという会社はあると思います。それをさらに進化させ、理由は問わないという制度にしたところが、凄いと思えるポイントでした。

 

週の契約労働時間を削ればもちろん収入も減りますが、収入が減っても公休日が増える方がいいと考える人もいるでしょう。一日の労働時間が短いほうがいいと考える人もいるでしょう。自分がどう働きたいかを自分で決められるというところが素晴らしいと思います。

ようやくワークシェアリングが当たり前になる⁉︎

ワークシェアリング(わーくしぇありんぐ)とは - コトバンク

 

 

 

広島電鉄のここがすごい!<その二>

 

地方でも人手不足が深刻化する中、本人の希望に沿った形で安定して働くことができる環境づくりを進めることで、働く人を確保しようという動きは今後、企業の間で広がる可能性があります。

 

通常、会社側としては正社員を多く抱えると、一人あたりの人件費が高くなりますし、福利厚生など経費の出費が大きくなるため正社員の数は抑えようと考えます。人件費のパート比率をあげようと躍起になっている会社もよく見受けられます(その分、人時数が多く使えるため)。

 

しかし、それがわかっていても正社員の数が増えてしまう恐れがある短時間勤務制を導入するということはどういうことでしょうか。

どうやって差別化を図り人材の確保をしていくか、という深刻な問題へのブレイクスルー的発想。

そこに、凄いと思わされた最大のポイントがあるように感じたわけです。

 

働きやすい環境の会社ということは、優秀な人材が集まりやすい。

 

そんな当たり前だが、逆のことばかりしているとしか思えない会社が多くある中で、このことを実行してみせた、その行動力が凄いです(切羽詰まった状況だったからこそ、同業他社に先んじて手を打つことが出来たという一面もあったでしょう)。

 

さらに言うと、この制度がNHKのニュースに取り上げられたことで、広島電鉄の宣伝にもなっている。しかも、お金をかけずに!

(そして、広島とは特に縁のない僕が共感し、今、広島電鉄を紹介するブログ記事を書いている)

 

このニュースを見て、広島電鉄のことを知り広島電鉄に優秀な人材が集まった。なんてことになれば、他の会社も同じような社員本位の制度を作り、広がっていくかもしれない。

広島電鉄のこれからに注目!

 

 

 

 

以上

 

 

 

www.hiroden.co.jp

 

 

www.rirekisyodo.com

 

 

 

<関連過去記事>

 

parm.hatenablog.com

 

 

<関連おすすめ本>

 

社員本位の経営方針で一躍有名になった「未来工業」創業者の本

 

 

f:id:PARM:20161219004856j:plain

 

 

素敵な?選択肢

さてみなさん、お立ち会い。

欲しい物を買うとき、他の商品や他の店と比べて、どこで買おうかと調べて買う。特に高い商品なんかはそうやって慎重に買ったりしますよね。また、松竹梅などのプランが用意されていた場合どれにしようか考えます。もちろん私もそうしています。

 

この店の商品はあの店よりも安い、この価格は通常価格より安い。だから買う。このプランはそのプランよりもこういう点で優れている。だからこれを選ぶ。

自分で選んで買っているわけです。

 

しかし、

 

自分で選んでいるつもりが、じつは選ばされているとしたら?

 

行動経済学を勉強していて、こんな例を見つけました。

今回はこちらの本からの紹介です。 

 

 

エコノミストの三択

 

いきなりですが補足しておくと、エコノミストという雑誌があります。簡単に言うと世界の政治や経済情報などが載っている雑誌です。ロンドンエコノミストと呼ばれています。

www.economist.com

 

エコノミストの年間購読の申し込み書を見ると、

選べるプランは3つ。

 

A. ウェブ版だけの購読・・・59ドル

B. 印刷版だけの購読・・・125ドル

C. 印刷版とウェブ版のセット購読・・・125ドル

 

あなたなら、どのプランを選びますか。

 

これを、マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院生100人に選んでもらったという調査です。

 

よく見ると、BとCのプランが同じ値段です。ああ、きっと雑誌社の記載ミスですよね。

と雑誌社に問い合わせたところ、返ってきた返答は、合ってます。これで間違いありません。とのこと。Cのプランは、ウェブ版はデータを配信するだけだから、印刷版を注文したら無料で付いてくるってことなのか?経費もかからなそうだし…!?

 

Cのプランがお得ですかね。

または、電子書籍が当たり前になりつつある現代ではAのプランを選ぶ人も多いかもしれませんね。

Bのプランを選ぶ人はいますでしょうか。

 

結果は以下のとおり。

 

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A. ウェブ版だけの購読・・・16人

B. 印刷版だけの購読・・・0人

C. 印刷版とウェブ版のセット購読・・・84人

 

さすがに、BとCのプランは同じ値段なので、Bのプランを選ぶ人はいなかったようです。

数年前の調査(この本が日本で出版されたのは2010年)としては妥当な結果とも言えると思います。

 

さて、本題はここからです。

 

Bのプランを選んだのは0人。

だったら、選択肢としてBのプランは外してもいいはずですよね。

 

そこで、死に筋商品であるBのプランを省いて、選択肢をAとCのプランだけにして、もう一度同じように調査をし直しました。

 

A. ウェブ版だけの購読・・・59ドル

C. 印刷版とウェブ版のセット購読・・・125ドル

 

よけいなBのプランが省かれました。値段はそのままです。

どちらのプランにしますか?

 

急に選ぶのが難しく感じたのは私だけでしょうか。

うーん、Cはなんか高く感じるし、印刷版はあきらめて安いAのプランにしようかな……

(先ほどの結果にもありますように、最初からAのプラン一択の人も当然おられるでしょう)

 

マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院生100人が選んだ結果はどうだったでしょうか。

Bはもともと0人だったわけだし、結果は変わるわけない!…はずですよね?

 

しかし、

 

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結果は、

 

A. ウェブ版だけの購読・・・68人

C. 印刷版とウェブ版のセット購読・・・32人

 

最初の3つのプランの結果をもう一度見てみると、

 

A. ウェブ版だけの購読・・・16人

B. 印刷版だけの購読・・・0人

C. 印刷版とウェブ版のセット購読・・・84人

 

Aのプランは16人から、68人にまで増えてしまいました。

 

 

なにが起きたのでしょうか。

 

ここからは、私の考察(というほどたいそうなものではないけど)を交えた、本題の本題。

 

①雑誌社が誰も選ばないであろうBのプランをあえて組み込んだ理由

 

結果、どちらが雑誌社には儲けが多かったでしょう。

値段の高いCのプランが多くの人に選ばれた、最初の三つの選択肢での購読広告ですよね。

しかし、選択肢が二つになると、安いAのプランを選ぶ人が急増しました。多くの人がBのプランがなければAの安いプランを選んだ。

売り手としては、Bのプランをあえて組み込むことで、みごとCのプランを(もちろん全員にではないにしても)選んでもらうことに成功したわけです。買い手は選ばされたとは思っていないばかりか、Cのプランを選んでかしこい買い物をしたとさえ思っている!WIN-WINてやつですね。(くどいようだが、大半の人はAの安いプランでよかったのに)

 

そう、Bのプランは、Cのプランを選はせるための、捨てプランだったわけです。おとり商品とも言います。

商品やサービスを選ぶ際、売り手に誘導されずにかしこい買い物するためには、私たち消費者はこのような仕組みを知っておいても損はなさそうです。

そして、自分が売り手側に立った場合、こういうおとり商品を選択肢に組み込んでおくと買ってもらいたい商品を選んでもらいやすくなります。また、おとり商品が比較される商品やサービスとなるため、買い手が選びやすくなるという利点もあります。

 

 

 

②統計・データの悪用にご用心!?

 

この二つの調査、これが企業が自社商品の宣伝に使うためのアンケートだったらどうでしょう。

結果が180度違いましたよね。初めはCのプランが圧勝。2度目の調査だとAのプランが圧勝。

たとえば、あなたがAまたはCのプランの利害関係者だったとして、世間にアピールしたいとしたら、どちらの調査結果を用いますか?

 

選択肢を少しいじるだけで調査結果が180度変わることもある。世間には統計データを使った宣伝があふれています。そのような統計データは、調査方法や選択肢をいじることでいくらでも操作出来るとしたら怖くありませんか。

恐るべきことに、この二つの結果自体は捏造したわけではありません。事実です。

 

アンケートなどの統計データがいかに不確実なものか。人の行動・考動を変えてしまうようなアンケート結果、何かを買わせようとするための統計データを見た時は、眉に唾をつけるのを忘れないようにしたいものです。(私も統計データを用いる際は気をつけます)

 

以上、買い物にまつわる「素敵な?選択肢」のお話でした。

 

 

<以下は今回の記事に関してのオススメ動画・書籍紹介>

 

www.ted.com

ダン・アリエリー:我々は本当に自分で決めているのか?

 

 

 ダン・アリエリー教授のおもしろく学べる行動経済学

 

 

「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書)

「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書)

 

 いつか紹介したいと思っている本

 

 

 色々なタイプの詭弁を分類されて紹介されています

 

 

アイキャッチ用>

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羽生結弦選手のここがすごい!~北風と太陽

さてみなさん、フィギュアスケートですよ。

 

羽生結弦選手が、2016年グランプリファイナルのショートプログラムで見事首位を取りました。

 

www.nikkansports.com

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細かい技術は(まだ浅いファンなので)分かりませんが、長い手足を大きく使い、のびのびと楽しみながら滑走する様にGPファイナル3連覇の王者の貫禄を見ました。

 

 

羽生結弦選手のここがすごい!

 

最初の4回転ループで少し体勢を崩したとき、すこし照れ笑い。

最初に少し軽いミス、体勢を崩してしまった事で、緊張がほぐれたらしい。その後は、観客へのサービスも行う余裕が生まれていました。

 

「すごく緊張して、久しぶりに手足が震えるほどでした。最初の4回転ループは減点がつくすごく汚いジャンプでしたけど、降りることができました。(中略)

もし最初の4回転ループがきれいに決まっていたら、『ノーミスをしなければ』と思って余計緊張したと思いますけど、あのジャンプだったから、ある意味緊張がなくなりましたし、そこから速いビートであったり歌詞であったりを考えることができました。

GPファイナルSPで羽生結弦が言う「プログラムの成立に不可欠なもの」|フィギュア |集英社のスポーツ総合雑誌 スポルティーバ 公式サイト web Sportiva

 

なるほど、前向き。

マイナスをプラスに変えるメンタルの強さも伺えるコメントです。

 

同記事によると、

その意味では「観客なしでは成立しないプログラム」(羽生)であり、観客との一体感や距離感に関しては、ほぼ納得の演技ができたNHK杯で殻を破れた手応えもあった。

だからこそ、今回のGPファイナル「より楽しみながらできた」と言えたのだろう。

 

より楽しみながら出来た。

演技後のインタビューでも、フリーの演技に向けて「楽しんでやりたい」ということもおっしゃっておりました。

 

「ミスをしないように」とか、「ベストを尽くしたい」とか、そういう気持ちもあるだろうけど、「楽しんでやりたい」と言える羽生選手がやっぱりすごいなと、印象に残りました。

 

ますます、フリーの演技も楽しみになってきますね。

 

 

感想はこれぐらいにして、

ここから話は、少し主張めいた方向へ。

 

 

北風と太陽

 

「楽しんでやる」ということについては、フィギュアスケートに限らず様々な業界でも結果を残すには重要な事で、それは職場でも同じ。

僕がかつて読んだ本から、例は少し古いですが、こんなエピソードを紹介したいと思います。(見にくくてすみません)

 

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 「仏の上司」になれますか? - 金平敬之助 - Google ブックスプレビュー(宣伝ページ)より引用。

別にこれが星野監督の全てではないとは思いますが。結果、リーグ優勝も2度しましたし。

 

「鬼」と呼ばれる指導者は職場や世間にはまだまだたくさんいます。

「鬼」のもとで成功したり、「鬼」と呼ばれる指導者に感謝している人もいるでしょう。だから、悪いとは言いません。

 

しかし、 

やるべきことを、すすんで「楽しく」やらせる。

僕は、そのほうが大きな結果が出ると考えています。

目指すは、「北風」のように命令・強制型ではなく、楽しいから自らすすんで行動してしまう環境を作るのが上手な「太陽」のような上司。

 

スタッフたちに、仕事が楽しいと言ってもらえる環境作りに励みたい。羽生選手の演技、コメントを見て改めてそう思ったのです。

 

以上。

 

 

<関連過去記事>

 

parm.hatenablog.com

  

 

 

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