『ロウソクの問題』 ✕ 『やる気』 の科学で仕事は面白くなる!

お題「自由研究」

 

夏休み自由研究企画 第2弾!

「ロウソクの問題」と「やる気」についての研究。

 

すでに超有名なテーマなので、イヤというほど研究されているし、ロウソクの問題という言葉は知らなくても我々は経験を通じて認識していることもあるだろう。

 

ロウソクの問題をどう扱うか、それをどう活用していくかが問題の本質、重要になる。

「モチベーション3.0」の著書でもあるダニエル・ピンク氏のTEDでの公演動画を利用して、「やる気」について的を絞りこれからの方向性を模索していきたいと思います。

  

 

www.ted.com

▲今回取り扱わせていただいたのがこちら

 

ダニエル・ピンク 「やる気に関する驚きの科学」 | TED Talk Subtitles and Transcript | TED.com

▲こちらの文字起こし、大いに活用させて頂きました。

私の実体験も盛り込んでいきますが、共感できる部分、お伝えしたい部分をなるべく私の主張に沿うようにピックアップしたつもりです。

こちらの文字起こしサイトは、動画を見るのはしんどい方や、テキストで保存したいという人にはうってつけです。

(手抜と言われれば反論の余地はありませんが、なるべく事実通りお伝えしたいと考え、今回はこちらからの引用を多用させていただきました。)

 

  • 1) ロウソクの問題の概要
  • 2) ロウソクの問題の本当の問題
  • 3) もうひとつのロウソクの問題

 

 

1)ロウソクの問題の概要

 

1945年に カール ドゥンカーという心理学者が この実験を考案し 様々な行動科学の実験で用いました

 

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▲この画像を御覧ください。箱に入った画鋲、ロウソク、マッチが用意されています。

そして、こう問われたとします。

 

 「テーブルに蝋がたれないように ロウソクを壁に 取り付けてください」

 

さあ、あなたならどうしますか?

 

多くの人は 画鋲でロウソクを 壁に留めようとします でも うまくいきません

 

マッチの火でロウソクを溶かして 壁にくっつけるというアイデアを思いつく人もいます いいアイデアですが うまくいきません

 

そして、これが正解。

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5分か10分すると たいていの人は解決法を見つけます このようにすればいいのです 鍵になるのは「機能的固着」を乗り越えるということです 最初あの箱を見て 単なる画鋲の入れ物だと思います しかしそれは別な使い方をすることもでき ロウソクの台になるのです これがロウソクの問題です

 

ここまでが、ロウソクの問題の一般的な概要。

へー。で、この話は終わってしまいます。

 

 

2) ロウソクの問題の本当の問題

 

 

ここからの話が、「やる気」と「ロウソクの問題」の本題になります。

 

次にサム グラックスバーグという科学者が このロウソクの問題を使って行った 実験をご紹介します 彼は現在プリンストン大学にいます この実験でインセンティブの力がわかります 彼は参加者を集めて こう言いました

「この問題をどれくらい早く解けるか時計で計ります」

そして1つのグループには この種の問題を解くのに 一般にどれくらい時間がかかるのか 平均時間を知りたいのだと言います

もう1つのグループには 報酬を提示します 「上位25パーセントの人には 5ドルお渡しします 1番になった人は 20ドルです」

 

報酬ありのグループは、もうひとつの報酬なしのグループよりもどれだけ早く、この問題を解決できたでしょうか?

 

なんと、

答えは 平均で― 3分半 余計に時間がかかりました 3分半長くかかったのです

 

そして、ダニエル・ピンク氏はこう続けます。

 

人々により良く働いてもらおうと思ったら 報酬を出せばいい ボーナスに コミッション あるいは何であれ― インセンティブを与えるのです ビジネスの世界ではそうやっています

しかしここでは結果が違いました 思考が鋭くなり クリエイティビティが加速されるようにと インセンティブを用意したのに 結果は反対になりました 思考は鈍く クリエイティビティは阻害されたのです

 

この実験が興味深いのは それが例外ではないということです この結果は何度も何度も 40年に渡って再現されてきたのです

この成功報酬的な動機付け―If Then式 「これをしたら これが貰える」というやり方は 状況によっては機能します しかし多くの作業ではうまくいかず 時には害にすらなります これは社会科学における 最も確固とした発見の1つです そして最も無視されている発見でもあります

 

この発見は、我々の勤務する会社で活用されているでしょうか。

指摘されているように、最も無視されているのではないでしょうか。

その例として、

 

ビジネス運営のシステム つまりビジネスの背後にある前提や手順においては どう人を動機付け どう人を割り当てるかという問題は もっぱら外的動機付け アメとムチにたよっています 20世紀的な作業の多くでは これは実際うまくいきます

 しかし21世紀的な作業には 機械的なご褒美と罰というアプローチは 機能せず うまくいかないか 害になるのです

 

外的動機付けという言葉が出てきました。

アメとムチです。信賞必罰とも言います。古い経営者やブラック企業の幹部が大好きな言葉です(自分調べ)。そして、「モチベーション2.0」に属します。

これらの報酬方式は、20世紀的、昭和的な大量生産時代には大いに役立ちました。残業手当、営業ノルマ・歩合制などです。もちろん労働の対価として受け取るこれらの諸手当は我々の待遇には欠かせず、これからも前提となっていきます。

しかし、これからの先進国特有の満たされた時代は、大量生産や安さだけでなく、価値の需要が高まってきています。(マズローの欲求5段階説というやつです)

価値を生み出すには、内的動機付けが求められます。工夫や新しい発想、創造力が必要だからです。

外的動機付けではなく、内的動機付けという考え方こそが、「モチベーション3.0」の真髄です。(モチベーション3.0の話はここではこれくらいにしておきます)

 

 

3) もうひとつのロウソクの問題

 

これまで、報酬バンザイの外的動機付けはダメだという論調で話を進めてきましたが、必ずしもそうではないという話をしたいと思います。決めつけは良くないので、片面思考ではなく両面思考を取り入れます。

 

このロウソクの問題を使った実験が、もうひとつ紹介されているのです。

 

先ほど、報酬あり・なし、2つに分かれて行われた実験と同じ条件。

ただし、すこし設定が違います。こちらの画像をご覧ください。

 

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グラックスバーグはこれと似た別な実験もしました このように若干違った形で 問題を提示したのです

机に蝋がたれないようにロウソクを壁に付けてください 条件は同じ あなたたちは平均時間を計ります あなたたちにはインセンティブを与えます

どうなったのでしょう?

 

さて、結果は、

今回は― インセンティブを与えられたグループの方が断然勝ちました なぜでしょう?

箱に画鋲が入っていなかったら 問題はバカみたいに簡単になるからです (「サルでもわかる」ロウソクの問題) (笑)

 

反射的に行う作業、ゴールが見えている仕事には外的動機付けが有効であると言われています。

 

If Then式の報酬は このような作業にはとても効果があります 単純なルールと 明確な答えがある場合です

報酬というのは 視野を狭め 心を集中させるものです 報酬が機能する場合が多いのはそのためです だからこのような 狭い視野で 目の前にあるゴールを まっすぐ見ていればよい場合には うまく機能するのです

 

先ほどの、大量生産の時代にはアメとムチが上手く行ったと言ったのは、こういう理由からです。

 

私たちが勤め先において直面している問題は、単純明快でしょうか。

経営方針の問題、人材育成の問題、顧客育成の問題、競合他者との差別化の問題など様々な、正解のない、あるいはゴールの無い、いわゆる右脳思考的な問題に直面しているのではないでしょうか。

 

どちらのロウソクの問題(画鋲は箱に入っていますか?箱から出されていますか?)を我々は取り扱っているのかを一度立ち止まって考える必要がありそうです。

そして、そのためのニンジンは必要なのか、不要どころか逆効果なのか、考えた上で報酬をどう与えるか決定する必要がありそうです。

工夫や創造性を邪魔しかねない「If_Then方式」だけが正解ではないのではないでしょうか。

お金の心配をせずにすむためには、基本給や最低時給を上げるのも手ですよね。

成功や失敗による報酬に気をとらわれずのびのびと発想を広げ働ける環境作りが必要なのであるわけだ。

 

大事なのは― 私たちがこのことを知っているということです 科学はそれを確認しただけです

科学知識とビジネスの慣行の間の このミスマッチを正せば 21世紀的な動機付けの考え方を 採用すれば 怠惰で危険でイデオロギー的な アメとムチを脱却すれば 私たちは会社を強くし 多くのロウソクの問題を解き そしておそらくは 世界を変えることができるのです

 

 

最後に

 

なぜ、この科学知識が無視され続けているのでしょうか。

考えられることは、アメとムチは経営幹部にとって、従業員を管理するのが楽なのでしょうね。

そして、アメとムチのやり方で上から下に報酬(アメ)を与えてやっているという権限意識は上司にとって心地よく、組織内の上下関係の再確認にもつながっている。

さらには、部下に対して自分の立場・地位を知らしめることが出来る。ピラミッド型の組織形成と維持にも貢献する。そんなウマミのある、信賞必罰なやり方を経営幹部達が手放すようには残念ながら思えません。組織の昭和脳幹部が「信賞必罰」という言葉を多用する意味がここにあると考えるわけです。

すでにそういった昭和脳・20世紀脳の考えに洗脳され冒されている「有能な」若手社員を見ると会社の未来を案じてしまうわけです。

今回の科学実験の結果を知っている我々なら、未来に向けた、より良い組織運営ができると確信しています!

 

以上

 

 

 

前回の自由研究 

 

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参考、引用サイト紹介

 

www.motivation-up.com

▲人間の欲求は果てしない

 

www.ted.com

▲文字起こしサイト。運営者様に感謝

 

▲アメとムチの功罪、モチベーションは3.0時代へ

 

 

 

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