「無用の用」 役に立たないものが役に立つ!?
役に立たないもの(物・者)が役に立つ
というような、話が好きです。
たとえば、
占いの館でのこんな話。
「婚約者がいるが本当に結婚するべきかどうか……」
「H社のあの車と、T社のあの車どちらを買うべきか……」
決めかねている内容はこれに限らず、どちらを選ぶべきか、そんな悩みを抱えていたとします。
いっちょ、占い師にでも見てもらうか!
というわけで占いの館に訪れたわけです。
どうせなら的確なアドバイス(占い結果)がほしいと考えているとします。
そこには、3つの部屋があり、それぞれに1人の占い師がいます。
だれが統計を取ったかは置いといて、以下の様な占い師それぞれの占いが当たる結果が出ているとします。
A)よく当たると評判の売れっ子人気占い師A…当たる確率は70%。
B)当たるも八卦、当たらぬも八卦な占い師B…当たる確率は50%。
C)当たらないと評判のかわいそうな占い師C…当たる確率は20%。
どこで占ってもらっても料金は同じ。
さて、どこで占ってもらいますか?
とんち問題ではないので簡単に考えましょう。
当たる確率が一番高いAの部屋に入りますか?
この記事のタイトルで、すでにネタばらししているので、さっそくどうするべきかを言いますと、
Cの、当たる確率が20%の占い師に見てもらうべきです。
それはなぜか、もうすでにお分かりの方には恐縮ですが、蛇足として説明しますと、
当たる確率が20%ということは、当たらない確率は80%。
Cの占い師の言うことの逆をやれば、当たる確率は80%となるわけです。
見事、弱みが強みに変わったという、お話でした。
(Inspired by 阿刀田高/「当たらぬも八卦」より)
弱みが強みになる。強みが弱みになる。
役に立たないと思っていたものが役に立つ。
老荘思想には「無用の用」というものがあります。
役に立たないと思っていたものが役に立つ。
そんな例を簡単にもう一つだけ。
「カブトムシ」
立派なツノを持ったカブトムシがいました。
他の貧弱なツノをしたカブトムシにいつも威張っています。
どうだ、おれのツノは立派だろう!誰もおれには逆らえないのさッ!
と、そこに小学生がやってきて、
お、このカブトムシすげー!大きいツノ!
と言って、仲間に威張っていたそのカブトムシだけをつかまえて行きましたとさ。
(この話も阿刀田高さんの他の本で知りました)
つまり、ツノが貧弱で自分のことをみじめに思っていたカブトムシたちは小学生に見向きもされず、住み心地の良い自然の中で生き延びることが出来たわけです。「無用の用」によく出てくる曲がった木の話に似ています。
これも見事に弱みと思っていたことが強みになったわけです。
「ほれご覧、この木は役に立たぬお陰で、自分の天寿を全うす ることが出来るんだよ。」
役に立たないと思っていたもの(物・人)が役に立つこともある。
弱みが強みになることもある。
そんな話が好きです。
弱肉強食の世の中では、強い方が利益は得られやすいですし、無用よりも有用を選ぶべき。
それがこの世の摂理ではありますが、弱いからこそ救われることもある、無用なものが役に立つこともある。そう思う事が出来れば、生きることが少し楽になりますね!
画像http://www2s.biglobe.ne.jp/~gajigaji/sakuhin/seiji/mu42.htmより