朱い夏

題名のないスケッチ帳

幹部の店舗巡回とやら

『明日、支社長がそっちの店に行くぞ』

と、部長から連絡があり、『だからぁ?』とも思ったんですが、部長は慌てたご様子。

私の勤める店が支社長から見て、いわゆる「できていない店」だったら部長が困るらしい。部長からしたら出世に関わる一大事というわけです。

自店のメンテナンスは限られた時間の中でできる範囲でやっている。別に支社長が来ても構わない。何をしに来るのかは分からないが、まあ、店のできていないところを指摘するためなのだろう。いつものことです。

 

そして、その連絡をもらった日の閉店前になってその部長が店にやってきた。あそこができていない、ここができていないと重箱の隅を突つくような指摘に右往左往している。必要以上に焦っているご様子。

幸い、自店のメンテナンスはそれなりにできているので大きな指摘はなかったが、一箇所だけプロモーションの修正を私に言いつけ部長は帰って行きました。

その日は2時間ばかり居残りをして店を後にしました。

 

で、翌日。

支社長、店に来ず。

 

これもよくあることなので慣れっこですが、居残りまでした私の2時間は……

そして、感動するぐらい綺麗に前出しをしてくれたバイトスタッフは……

支社長が来なくても店が綺麗になったのでいいことなのですが、顧客のためというよりは、なんか部長のためにやらされた感。

企業ではよくある風景。同じような経験をされた方も多いのではないかと思います。 

 

 

承認欲求

 

部長に言われたからとはいえ、店のメンテナンスの具合が少し上がった。昨日よりもいい売り場にはなった。そして、せっかく良くなったんだからどうせなら支社長にほめてもらいたかった!

 ほめてもらいたかった!?

 認めてもらいたかった!?

承認欲求ってやつです。

やったことに対して、フィードバックがある、ないの差は大きい。

人のやる気を無くさせるのは簡単。フィードバックをせず放置しておけばいい。

逆に、フィードバックをしてあげることで人のやる気は簡単に上がる。

 

実のところ、私は承認欲求を使ったマネジメントにはいささか後ろ向きです。

否定まではしませんが、両面思考で考えたいと思っています。

 ほめられないなら、もうやらないの?

 認めてもらえないなら、もうやらないの?

それって目的がズレてない?と考えてしまうからです。

そうではなく、自分がやりたいからやる。正しいと思うからやる。楽しいからやる。

そうありたいと常々考えています。

上司にほめられるかどうか、先生にほめられるかどうか、親にほめられるかどうか、これらを外発的動機づけと言います。承認欲求は外発的動機づけが根底にあります。

仕事においても趣味においても、「外発的動機づけ」ではなく「内発的動機づけ」。これを目指しています。うまく使い分けていきたいと考えています。

 

 

誰のため

 

今回の例で言うと、もちろん部長の出世のためではないですし、支社長のためでもない。

目的は、顧客のため。顧客に喜んでもらいたい、自分がそうしたい。だからやる。やらされ感は楽しくない。

目的がズレていることは他にもあって、よく聞く話ですが、例えば販売コンクール。

部長が抱えるエリアごとに達成率ランキングが出ます。いつも下位の部長は出世や評価に響きますし、いつも上位の部長は昇進も近づく。だから部長は自分のエリア内の店舗には売れ、売れ、とにかく売れ、結果が全てだ!なんてことを店に押し付ける。押し付けられた店は、とにかく結果を出すために必死にコンクール商品を顧客に売りつける。そして、順位の高い部長や店舗は評価される。そして、そんなやり方でも実績を作り上げれば正義とされ、それが正しいと勘違いしたまま出世し、下に同じことを押し付ける。販売コンクールなんて顧客からしたら特に意味もない。自分に合ったものを薦めて欲しいだけなのに。

 

 

できていないところを指摘

 

どうしても愚痴っぽくなるので、これで終わりにします。

これも本当によく聞く話。そもそも、幹部が気まぐれに、できていないところを指摘するための店舗行脚ってどうでしょう。できていないところを指摘し、写真を撮り、会議の場で晒し者にする、そんなことが自分の仕事だと思っているフシがある。

 

私のお気に入りの、こんな言葉があります。

やる事をやらなければしかるのが上司ではない。やる事をみんながすすんでやるような環境をつくるのが上司。それを怠って鬼になっている上司は恥ずかしい上司。

「仏の上司」になれますか? 部下を活かし組織を変える究極の人材育成論

 

もう一つ、

ウォルグリーンの幹部は店舗巡回の際、売場にケチを付けるのではなく、「顧客満足従業員満足」を向上させるために何か手伝えることはないか?と聞いて回っている。

ウォルグリーン―世界No.1のドラッグストア

 

仕事は楽しければ楽しいほど、色んなアイデアが生まれてくるもの。

現場のスタッフを落ち込ませても何もいいことはない。