勝利至上主義甲子園
春休みということで、選抜高校野球大会が始まりました。
ツイッターを眺めていると、このようなスポーツニュースが流れてきました。
「全員野球」が本当に理想なのか。英明・香川監督が貫く「9人野球」
香川県の英明高校では、全員野球ではなく、9人野球を理想としているという記事。どういうことか気になったので読んでみることに。
監督の言う9人野球とは、こういうことらしい。
・勝つためには、全員参加ではなく9人のエリートだけで戦うことが正解
・練習はあくまでレギュラー中心
・ベンチの控え選手は使ってもらえることはほとんどないが、甲子園に来られたんだから結果オーライ
・もちろん控え選手にも練習させてもらえるチャンスはある
(詳しくは貼り付けた記事を読んでみてください)
このチームは、勝つことに、甲子園に出る事を重点的に取り組み、実際、甲子園に出られたのだから、それはすごいことかも知れない。(生存者バイアス)
さらに記事から引用すると、
ここまでがっちり固定されていると、レギュラーたちは、自分がやらなければ誰がやるのだと意気に感じて好結果を生みそうだが、この日は逆だった。
肝心なところで走塁ミスが出るなどし、たびたび得点機を逸した。香川は試合後、ご立腹だった。
なぜ監督がご立腹なのかが疑問。
このチームは監督を喜ばせるために野球をしているのかな?
監督が自分に対してご立腹なのであれば分かる。中日の落合元監督も負けた時は自分のせいだって言ってたし、きっとそうでしょう。
そして、監督はこうも言っている、
「安心し切って、ゆるみまくってる」
まるでプロ野球の監督のようです。
そもそも、初出場の選抜甲子園で「安心し切って、ゆるみまくってる」としたら大したもんだと思いました。
他のニュース記事での監督の発言も見てみました。
(試合前)
--チームの状態は。
香川監督:全然良くない。最後の練習試合で失策が多く、投手もストライクが入らず、打てずにどうしようかと思っている。
--意気込みを。
香川監督:勝つことはあまり考えていない。いい試合ができれば。甲子園を楽しませてやりたい。
(試合後)
英明・香川智彦監督:外野のエラーなど心配していた通りのことが起きた。先取点が欲しかった。チャンスもいっぱいあったのに拙攻ですね。
「勝つことはあまり考えていない。いい試合ができれば。甲子園を楽しませてやりたい。」
勝敗は結果ですからね。楽しんでやったほうがいい結果につながりやすいですし。
試合には負けたけど、甲子園での試合、甲子園を楽しめたのかな?
夏の甲子園に出場された際には注目したい。
勝利至上主義ではなく…
以前にも少し書いたことがありますが、同じ『number』から、感銘した記事を紹介。
少年野球から高校野球に至るまで、勝利至上主義で行われている野球に対しての筒香選手の提言を扱った記事より。
楽しいはずの野球なのに、大人の顔色を見ている。
筒香が挙げたのは指導者や親が勝利至上主義を求めすぎて「楽しいはずの野球なのに、子供が怒られないように、失敗しないように大人の顔色を見てプレーしている」こと。(略)
また一発勝負のトーナメント形式での大会運営では、試合に出る選手の負担は大きく、逆に試合に出られない選手は全く経験がつめない弊害がある。(略)
こうした様々な問題の背景にあるのは、筒香が最初に語った日本野球の勝利至上主義があることは間違いない。高校野球を頂点に少年野球まで、勝つために大人が子供を動かすシステムが一般化している。ただ筒香はドミニカ共和国や米国で子供達が勝つためではなく、いかに楽しんで野球をやっているかということを身をもって感じてきた。その結果として彼らの方がはるかに成長曲線としては大きなカーブを描いている現状を指摘するのだ。
中学生のチームなら、そこの監督が任されているのはその3年間、高校野球であれば、その3年間。その3年間で実績を残すことが自分の務めだと考えている監督も多い。ピッチャーは勝利至上主義により、精度の高い変化球を求められ若いうちからヒジを壊すといったケースもよくある話。勝つために小学生のうちから変化球を投げさせることもあるようです。
僕の高校野球を見る時の楽しみ方は、そのチームの雰囲気や選手の表情、監督の表情に注目することです。高校野球の中継を見ていると、時々、ピンチでも笑顔のピッチャー、野手、ピンチでも笑顔で選手たちをリラックスさせようとしている監督とか映ります。楽しそうに野球しているな、と思えるチームを見るとこちらも楽しくなるし、気づけばそのチームのファンになっています。
おしまい。