制服に着替えてからタイムカードの始業打刻をする人は会社に迷惑をかける不良従業員
「仕事の制服に着替えるのって、タイムカード押してからじゃないとあかんねやろ?」
中学生の子どもとバイトについての話になった際、子どもからそう聞かれた。
「そうやで、なんでそんなこと知ってるの?」と聞いてみたら、
「学校で習った」とのこと。社会の授業で労働基準法についての話があったらしい。
学校によって、もっと言えば先生によって教える内容は違うかも知れないが、うちの子はそう習ったそうだ。
「それを守っていない会社の社長は警察に捕まるんやろ?」ということも言ってきた。
現実に逮捕されているのかはおいといて、労働基準法違反というれっきとした違反行為だ。
「法律を守っていないような会社でバイトしたらあかんで」と言っておき、ここで話は終わったのですが、考えさせられた。
中学校で労働基準法の授業があり、今挙げたような具体的な事例を知っている子どもたちがいる。
これはどういうことかと言うと、子どもたちが働き出す上でこのような法律を守っている会社か否かが、バイトや就職など職を選ぶ上での選別基準にもなるということ。
つまり、「制服に着替えてからタイムカードを打刻するように」なんて事を言っている会社はブラック企業とみなされ勤め先候補から外れてしまう。相手にされないわけだ。ふるいにかけられると言ってもいい。「ブラック企業」の基準はどんどん下がってきている。
この風潮はなにも求職者だけでなく、すでに会社勤めをしている方たちにも労働環境が正しく修正されていくわけだからとてもいい事だ。あくまでもやっと法律通りに働けるようになっただけなんですがね。少子化でなければこのような流れになるには更に時間がかかったと思う。
業務の準備行為についての判例です。
労働者が、就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、又はこれを余儀なくされたときは、当該行為を所定労働時間外において行うものとされている場合であっても、当該行為は、特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、当該行為に要した時間は、それが社会通念上必要と認められるものである限り、労働基準法上の労働時間に該当すると解される。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/572/052572_hanrei.pdf
会社で、定められた制服に着替える時間は労働時間とみなされます。
出勤時は着替えや準備を行う前にタイムカードの打刻を行うのが、良い評価をされる従業員。
ついでに労働基準法における休憩時間について。
Q 私の職場では、昼休みに電話や来客対応をする昼当番が月に2~3回ありますが、このような場合は勤務時間に含まれるのでしょうか?
A まず“休憩時間”について説明します。休憩時間は労働者が権利として労働から離れることが保障されていなければなりません。従って、待機時間等のいわゆる手待時間は休憩に含まれません。
ご質問にある昼休み中の電話や来客対応は明らかに業務とみなされますので、勤務時間に含まれます。従って、昼当番で昼休みが費やされてしまった場合、会社は別途休憩を与えなければなりません。
みなさんは休憩時間きちんと取れていますか?
僕の知っている例では、小売店で売り場の担当者がAさんしかいない場合、休憩中でも接客のためだったり、(客や本社からの)電話対応だったりで呼ばれることもしばしば。まあ、接客に10分かかればその分10分休憩時間を伸ばせばいいや、とAさんは考えていました。Aさんは、休憩時間でもいつ呼ばれるかわからないので店舗から外に出ることはできません。
これは休憩を取ったことになるのでしょうか。また、会社はAさんにそのような労働環境で働かせていて問題はないのでしょうか。
労働基準法では、これは手待ち時間とされ、Aさんはご飯を食べていようが、休憩室で寝ていようが、呼ばれれば対応しなければいけないため労働時間とみなされます。もし、休憩中呼ばれなかったとしてももちろん同じ扱いです。
会社はその分の賃金を支払わないといけないですし、休憩時間を取らせていないわけですから労働基準法違反となる。現場の労働環境を法律通り運用できるように整備するのは会社・経営者の役割。現場任せではいけないわけだ。
あと、有給休暇もそうですね。労働者たちが満足に有給休暇を取れるように人員を補強するのも会社・経営者の役割。
年間10日以上の有給休暇が付与される労働者に対して、年間5日の有給休暇取得についても、たかだか年5日の有給休暇をとることが困難な会社はなさけない。年間20日の有給休暇が与えられる人からしたら、5日?たったの25%?そんな会社で人不足時代乗り切れるの?求職者から見向きもされない会社になるだけではないか、そう思わざるを得ません。
外国からの労働者受け入れの話も頻繁に聞くようになってきましたが、そんな方たちのためにも、これから先、いわゆるブラック企業が淘汰されていき、それが加速されることを願うばかり。