デザイア・パスに注目を。
TED動画を見ていて、『デザイア・パス』と言う言葉を知った。
「けもの道」という意味で、「近道」と訳されることもある。
Desire pathの意味 - 英和辞典 Weblio辞書
たとえば、公園の芝生に出来たデザイア・パス。
公園の芝生や、河原の土手なんかに、正規の道ではなく人が往来する事によって出来上がった、けもの道があるのを一度ぐらいは見たことがあるのではないだろうか。
画像:トム・ヒューム: 近道から何が学べるか | TED Talk より
この画像のように、公園にけもの道(近道)が出来ている光景。
ここも、もともと芝生だったはずなのに、人が通りまくってデザイア・パスが出来上がっている。
これも、デザイア・パス。
フェンスが折り曲げられています。これはやりすぎ。
生活していると、けもの道的なものや近道的なものがあちこちにあふれていることに気づく。
人工的なものでこのようなけもの道が出来上がってしまっている場合、これは、設計が間違っているから起こることなのだろうか。おそらくそのとおりだと思う。
ここに道があったほうが便利やん、ここにトイレがあったほうが便利やん、ここにゴミ箱があったほうが便利やん、てことで、設計通りではなく、人にとって便利なように作り変えられていく。もちろん人に迷惑をかけない範囲で行われるべきではあるが。
公園の芝生ゾーンなんかで、芝生が傷つくのを嫌がって「芝生に入るな」という立て札があるのを見たことがある。芝生ゾーンの中を横切るのではなく当初の設計通り、芝生をぐるっと回り込んで向こう側に行けということなのだろう。まあべつにわざわざ芝生を痛めつけてまで近道をしようとは思わないが、横切るための道を作ってくれていればもっとよかったのに、と思うことがある。
2つ考え方があって、絶対に芝生に入れないように高い柵をもうけようという、ニーズを無視して規制を強めようとする考え方と、だったらニーズに即して道を作ろうという柔軟な考え方。ああ、3つ目に、放置するという考えもあるけど。
道を作ろうと考えた場合、その道は多くの人が通るわけだから、たとえば道の先に自販機でも設置すれば売上につながるかもしれない。ほんと、発想が貧相なたとえですけど。
歩きスマホ問題
デザイア・パスから話がそれるようで実はそれほどそれていない。
歩きスマホについてであるが、歩きスマホはやってはいけないこと。やらないようにしましょう、というのが「常識」だと思っていたが、それでも歩きスマホは減らない。
だったら、歩きスマホをしたら罰金を取ってしまえというのがこちらのニュース。
「米国モントクレア、2018年8月から『歩きスマホ』禁止へ:違反したら罰金100ドル」
それとは逆に、歩きスマホはやめたほうがいいけど、やめないならどうしよう、どうすれば少しでも事故は減るかなと考え出されたのが、こちらのような埋め込み信号。結構話題になっていましたね。
「オランダ、歩きスマホ対策の歩道埋め込み型信号『+Lightline』設置。役所はスマホ・ゾンビに苦言も安全を優先」
歩きスマホ専用レーンなんかも実験導入されている。
「中国・西安、ショッピングモールの前に『歩きスマホ』専用レーン」
これらはまだまだ賛否がありますが、デザイア・パスという考え方を意識するようになってからは、見え方・考え方が違ってきたように思う。
『トム・ヒューム 近道から何が学べるか』
さらに掘り下げた話もしています。
7分20秒の動画なので見てみてはいかがでしょう。日本語字幕も出ます。
あちこちに溢れているデザイア・パス的なものっていうのは実はそこにニーズが隠れているということなんだと分かった。規制を強めようとするのではなく、よりよくできないか考えるチャンスなんだと。
隙間産業みたいなものを始める人っていうのはそういう隠れたニーズを探し出すのが上手い人達なんだろうなと思った。
設計者の意図に反して人々が作りあげたデザイア・パスは注目すべき。よく見てみるとデザイア・パスはあちこちにある。
— 夏の虫 (@9youarenotalone) October 3, 2016
それを見つけ、舗装・補修する柔軟さを持とう!ってことね。#TED 「近道から何が学べるか」https://t.co/wNFujgghra