本のページは上下2段組が好みです。「私を構成する9冊」
「私を構成する9枚」という音楽の自分史とも言えるものを発表した。 「発表」だなんて大げさですが。
そして、性懲りもなく第二弾、「私を構成する9冊」を発表します。
やっぱりなかなか選びきれないですが、現時点での9冊。
別に9冊ということにこだわることもないけど。
今気づいたけど宗教や哲学関係が漏れてる!まあいいや。
「私を構成する」なので、単に面白かった、また読みたいという事では選んでおりません。自分の人生に影響を受けた9冊です。
並びの順番は関係無いです。
1.P.I.P.―プリズナー・イン・プノンペン (小学館文庫)/沢井鯨
20年ぐらい前、大学時代に読みました。文庫ではなかったです。なんせ分厚かった。
北野誠さんがラジオで宣伝されていたので興味を持ち読んでみたわけです。
無実の罪でプノンペンのプリズン(牢獄)に半年投獄されたというすごい経歴を持つ著者の半ノンフィクション小説。たしか、知らないうちに麻薬の運び屋にされてたんでしたか。
カンボジアの少女人身売買(まさに性奴隷)にも焦点を当てたストーリーがリビドー溢れる錯乱坊には衝撃度満点でした。
2.ダイナー (ポプラ文庫)/平山夢明
ハンバーガーが表紙のこの小説。食べ物屋さんのほのぼの小説かな?なんて思ったら度肝ってやつを抜かれますぜ。だれに?ここに出てくる登場人物ほぼ全員から。度肝どころか心の臓まで抜かれて、自分で自分の心の臓バーガーをかじらされることがあってもそこでは日常風景。だれも気にしてはくれない。
そんな残虐超人も顔負けの殺し屋たちが美味料理に舌鼓をうちにやってくる「キャンティーン」というダイナー。
"人は自分に合った靴を履くべきだと思う。押しつけられた靴ではなく、自分で探して納得した靴を。そうすれば驚くほど遠くまで歩くことができる。"
これは本当にいい言葉。
これはFMラジオで紹介されていたので気になって読みました。
3.終末のフール (集英社文庫)/伊坂幸太郎
伊坂幸太郎さんからのノミネートは終末のフール。
いつもの人生訓まじりの小説+世界の滅亡まであと3年
という設定。
"2XXX年。「8年後に小惑星が落ちてきて地球が滅亡する」と発表されて5年後。犯罪がはびこり、秩序は崩壊した混乱の中、仙台市北部の団地に住む人々は、いかにそれぞれの人生を送るのか?"
8年後に小惑星が落ちてきて地球が滅亡すると発表されて5年後。というところがミソ。アンニュイさが余計に現実感を引き立てる。
ネットラジオ(東北文化放送)で紹介されていたので気になって買った。
4.夜の旅人 (文春文庫)/阿刀田高
僕が今までで一番多く読んだ作家さん。
その中でもこの小説が一番好き。東京ゲーテ記念館を設立した粉川忠さんの小説仕立ての伝記本。東京ゲーテ記念館公式サイト
ゲーテに魅せられた人生。決して金持ちの道楽ではなく、一から積み上げていくその苦労に読み手は魅せられていくのだ。
阿刀田氏はこの話をもとに短編集「ナポレオン狂」を書き上げる。
自分はナポレオンの生まれ変わりだと信じてやまないナポレオン瓜二つの人間と、もう一人は、ナポレオンの今で言う超オタク。マニア。ナポレオンのものなら何でも収集する、ナポレオンと書かれた雑誌の記事ですら見逃さないような人物が出会うとどうなるか。
「ナポレオンと瓜二つの人 vs ナポレオンの収集家」
http://www.dotbook.jp/kd_ondemand/sample/KODB301570_S.pdf
なんと、こちらで読めます。
5.リンダリンダラバーソール―いかす!バンドブーム天国 (ダ・ヴィンチ・ブックス)/大槻ケンヂ
オーケンといえばグミ・チョコレート・パインも有名ですが、これがいい。40がらみ、僕の世代にはぴったり来る。あの懐かしきバンドブームのころの話を小説化したもの。と言ってもほぼノンフィクション。有頂天のケラさんが今も伝説的に扱われているけれどこの小説のなかでも頼れる兄貴的存在で出てくる。そんなナゴム時代の話。ブルー・ハーツのリンダリンダが流行り、ラバーソールの厚底靴を履いたグルーピーたちが熱狂する。終わりを告げるバンドブーム。栄光と挫折、栄枯盛衰、諸行無常。わかっていたはずなのに大人になっていかざるをえない青春の終わり感。夢の様な一夜が明け、知らない太陽が昇り始める置いてけぼり感。せつない。
ちなみにこれも北野誠さんのラジオ番組で紹介されて気になって購入。
6.赤い追跡者/今井彰
これもすごい半ノンフィクション小説。
テーマは「薬害エイズ問題」これを暴いた人の話。
アメリカで問題になっていた汚染された血液製剤が日本に入ってきた理由。そして感染の危険性をわかっていながらそれを使用した製薬会社。厚生官僚・医学部教授に対してもどんどん追い詰め、その悪事を暴いていく主人公。
免疫力が落ちることで、口の中やのどがカビだらけになるエイズ患者独特の描写がずっと頭に残っている。
図書館の新刊コーナーで気になって借りた。
7.遺言―桶川ストーカー殺人事件の深層/清水潔
6.の「赤い追跡者」と同様、この方がいなければ闇に葬られていたであろう事件を追ったノンフィクション。
警察の本音と建前気質がよく分かる。肝心な時に市民を守ってくれない。正義とはなにか。警察に犯人を見つけたと言っているのに捕まえる気がない!?なぜだ?警察はわざと逃がそうとしている!?やはりこの国の正義とはなんだ?そんなやるせなさを感じた。
余談だが、うちも今ハムスターを飼っている。ほんとに余談でした。
これもネットラジオ(BS@もてもてラジ袋)で絶賛されていたので気になって図書館で借りました。
8.モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか (講談社+α文庫)/ダニエル・ピンク
次に紹介するダン・アリエリー教授の関連本。「モチベーション3.0」の中にダン・アリエリー教授の話も出てくる。実はEテレの白熱教室でダン・アリエリー教授を知り、その本を読みあさり、先程紹介したネットラジオ(BS@もてもてラジ袋)でこの本の存在を知る。「ダニエル・ピンク+ダン・アリエリー」を読めば、人のやる気に関する良策が見えてくる。自分の人生の進むべき道が見えてくると言っても過言ではない。
「外発的動機付け vs 内発的動機付け」これを知っているだけで人材育成への迷いは吹き飛ぶ。アメとムチの時代は終わったのだ。そして、この本の中ではなんと、"マネージメント”という言葉すら死語、時代遅れだと断言しているからすごい!
9.予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)/ダン・アリエリー
Eテレの「白熱教室」ですっかりハマってしまった。経済を語る上で我々は普通、経済学の理論に基づいて人間の行動を考える。いわゆる「経済人」というものを設定する。一番合理的に損をしない行動するという考え方だ。しかし現実は、合理的ではない行動を人は取る。例えば、ズボンが2本目は半額だから買うつもりはなかったのに2本目をつい買ってしまう。ダイエットは明日から、とつい先延ばしにしてしまう。値段が高い薬の方が効き目が良くなる(プラセボ実験)、報酬の額が少ないと報酬無しより効果が落ちる(社会規範と市場規範)、冷蔵庫のコーラは知らないうちになくなるが、現金は無くならない、など多岐にわたる。
不合理だからうまくいく: 行動経済学で「人を動かす」 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
という続編まである。
もし、もう一度大学に通える機会があれば「行動経済学」のゼミに入りたいと本気で思うぐらいおもしろい分野です。
9冊のレビューを一気にしたわけだけど、一気に9冊となるとやはり浅くなってしまいます。当たり前ですね。そして疲れた……
新たな発見は、ラジオからの影響が9冊中6冊もあったということだ。
ラジオの影響って大きいことがよくわかった。というか僕が影響されやすいだけ?
本とラジオって相性いいのかもなー(やはり僕だけ?)
僕の読メです。こちらもよろしく。