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朱い夏

キミたちがいて、ボクがいる

「努力 vs スキル」 一緒に汗をかいてくれる上司は好きですか

努力 vs スキル 

 

午前9時、いつものようにあなたは会社に出社しパソコンのメールをチェックする。

すると、今日もまた、部長の自宅PCから全営業部員宛に業務連絡のメールが届いている。

メール受信の時間を見ると午前1時

そこであなたはこう考える。「こんなに遅くまで部長は仕事をしていたのか」「部長は会社のために遅くまで頑張ってくれてるんだ、僕も部長のように頑張らないと」

 

部長から深夜にメールが届いていたのは「事実」。だが、「真実」はどうだろうか。

本当に部長は毎日、朝から仕事をし、日付が変わる頃まで仕事をしているのだろうか。

「真実」は、部長のそのメールはもっと早い段階で完成していたかもしれない。部長が寝る前に送信している可能性もある。送信予約なんて機能もある。

 

では、なぜ、その部長はわざわざそんな遅い時間にメールを送る必要があったのだろうか。

それが今回の、努力 vs スキル というテーマにつながるわけだ。

 

多くの場合、人の感情を動かし、同情や共感を得ようとするとアピールが必要になる。「汗」をかいて他の人にその汗を見せることが必要になる。

スマートに汗をかかずサラリとやってのける人には、人は感情を動かされにくい。

 

くどくどと話してきたが、これを見れば一発で何が言いたかったかわかってもらえるはずだ。こんな有名な例を。

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開けるのに60分かかる鍵屋と、スキルを磨き技術を向上させ、1分で開けれるようになった鍵屋。

あなたならどちらの鍵屋に来てもらいたいですか?そりゃあ、1分の鍵屋でしょうね。

この鍵屋は言う。「でもね、60分かかっていた昔のほうがよりたくさんのチップがもらえたんだ。」

 

われわれ素人には鍵を開ける難しさの度合いがわからい。簡単に開けられると、なんだ、そんなものか。と思ってしまう。すぐに開けられるようになるスキルを磨くことは今までどれだけの経験や知識が必要であったかを知るすべはない。

 

もう一つ、今度はこれも有名な、車の修理工の例をあげる。

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汗をかいたものが必ずしも偉いというわけではない。しかし、このスキルがない者は汗をかくしか無い。 

それを勘違いしている人も多い。

一緒になって汗をかいてくれる上司が賞賛されるという風潮。

あとで少し触れるが、上司の役割はそうではないはずだ。

 

 

さらに例を2つ重ねよう。野球を例にとる。

 

  • 9回裏ツーアウト。ボテボテの内野ゴロ。内野安打を狙えるかも知れない!

<努力型>一塁ベースに向かって一生懸命走る打者。ヘッドスライディング。セーフ!球場は大いに盛り上がる。同点のランナーが出た!ナイスガッツ!

<スキル型>一目散に一塁ベース上を駆け抜ける。これが何よりも一番早い。ベースの角まで最短距離で走る!一塁手が野手からの送球をキャッチするより早く、これ以上ない最短距離で自分のつま先がベースの角を踏んだ感触。見事セーフ!

 

一塁ベースに向かってヘッドスライディング。よく見る球場が湧く光景である。しかし、一塁ベースに向かってのヘッドスライディングがどれだけ危険な行為であるか本当の野球ファンなら知っている。あれだけ内野安打が多いイチローが一塁ベースに向かってヘッドスライディングをしているところを見たことがあるだろうか。世界の盗塁王福本豊も事ある毎にその危険性を訴えているではないか。牽制のシーンではあったが、一塁ベースに向かってヘッドスライディングをした元阪神濱中治選手はどうなった?それでも一塁ベースに向かってのヘッドスライディングは観客を魅了してやまない。スキルより努力を見たい。それが人間の感情である。

 

  • レフト線に大きな打球(フライ)が飛んだ!

<努力型>レフトの選手は一生懸命打球に向かって走り、見事ダイビングキャッチ!球場は大いに盛り上がった。ナイスファインプレー!

<スキル型>レフトの選手は風向きや打者の特徴、ピッチャーの投げるコースを考え、あらかじめラインよりに守っていた。打球が飛んできても焦ることなくキャッチ出来た。一見平凡なプレーだったので球場が盛り上がることはなかった。

 

野球経験者やよっぽどの野球好きならどちらがファインプレーなのかはわかるはずだ(もちろん後者)。

目に見えないファインプレーよりも、努力型・アピール型のファインプレーがスキル型よりも評価される。こういうことがわれわれの日常に溢れている。本質を捉えるということは残念なことに感情が邪魔をしてなかなかままならないのだ。

 

それを逆手に取ったのが、冒頭の部長の話である。スキルに不安のあるその部長は、部下の感情に訴え、なんとか自分の立場を、存在感をアピールしたいわけだ。騙されてはいけない。もし、本当に部長がそんなにしょっちゅう深夜まで働かないといけない会社なのであれば、部下の出世欲も薄れるしそんなブラッキーな会社に未来はない。そんなバレバレなパフォーマンスは部下の士気を下げるだけだ。

 

そんな、ひとりよがりな努力ではなく、スキルでアピールしてくれればちゃんと部下にも伝わるはず!そんなに部下はバカではない。

この部長の元で働くと、なんでこんなに残業が少ないのだろう。なんでこんなに仕事が楽しいのだろう。なんでスタッフがイキイキするのだろう。そういう目には見えないが影でのフォロー、ファインプレー、部長であるがゆえのスキルを発揮して欲しいのだ!そして、われわれもそういう上司になることを目指すべきでなないだろうか!

 

本質を捉える冷静な判断力。そう、そんな「スキル」を磨いていきたい!

 

 

 

※これは架空上の部長であり特定の人物を指しているわけではありませんのであしからず。

※あと、努力を否定しているわけではありませんよ。スキルアップに努力は欠かせませんから。

 

 

今回の話は、僕のブログではお馴染みの行動経済学ダン・アリエリー教授の講義からいただいた有名なテーマの一つです。感情によって歪められる人間の不合理な行動。まだまだ奥は深いです。

お金と感情と意思決定の白熱教室: 楽しい行動経済学

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