同調が支配する空気感を打ち破る
テレビで放送されていた、ダン・アリエリー教授の「楽しい行動経済学の世界」で興味深い話が聞けたのでちょっとご紹介。
『同調』についての話。
この講義では、アッシュの同調実験 を用いて解説がされていました。
画像の左側に基準の線が引かれていて、右側にa,b,c,と3本の比較対象の線が引かれています。
さて、基準の線と同じ長さの線はa,b,c,のうちどれでしょう。
aの線が正解なのですが、自分以外の人全員が c と答えたあとに自分の答えを聞かれた場合、自分の答えに影響するかどうかという実験です。
アッシュの同調実験の結果は以下のとおりである。サクラ全員が正解を答えると、被験者も堂々と正解の選択肢を選んだ。しかし、サクラが不正解を答えると、被験者も不正解の選択肢を選ぶ傾向が確認された。
実験の結果、全ての質問に正解を答えつづけた被験者は全体のおよそ25%で、残りの75%は不正解のサクラに一度でも同調してしまった。被験者がサクラに同調して不正解の選択肢を選ぶ確率は、約3分の1であったという。
国や地域、組織によっては、サクラに同調してしまう割合も増えるかも知れませんね。
また、サクラの数が増えた場合や、出された問題が難しくなると、同調してしまう割合も高くなる。さらに、自分が所属したいと思っているグループの中にいると、同調してしまう率は上がる。
一人の勇敢な発言が事態を大きく変える
本題はここからです。
自分以外の全員が自分と違う答えを言った場合、自分も同調してしまうことがあるという話でしたが、しかし、これを打ち破るのは簡単なことらしい!
周囲に同調しない人がもう1人いれば事態は大きく変わる
たしかに!
先程の線の実験でも、誰か一人が a と答えてくれていたら自信を持って a と答えることができます。線の実験は「問題が難しくない」ので自分一人だけでも a と答えることができそうですが、難題な問に対しては仲間が一人いるだけで多数に同調せずに自分の意見が言いやすくなる。
ダン・アリエリー教授はこのように言っています。
仮に、協力者(サクラ)の一人が正しい答えを言ったらどうなるだろうか。その人だけが正解を言って、あとは皆間違う。被験者は、グループの意見に反対しやすくなったんだ。
実験の記録では、被験者は正解を言ったもう一人を、ともに戦う仲間のような感じで見たそうだ。「真実を知っているのは我々だけだ、頭の悪いやつらと戦おう」と。
ここで、この講義は別の話題に移るのですが、考えさせられるものがあった。
「なるほど~、同調の空気感が支配する場でも、だれかが異なる意見を言ってくれたら場の空気が変わるのかもな~」
なんて、寝ぼけたことを考えていてはいけない。
だれかがではなく、自分がその、異を唱える最初の一人にならなくてはいけない!
同調の空気に流されてはいけない。自分が間違っていると思ったことは間違っているという意志を表示することで、同じように間違っていると思っている(少数かも知れないが)自分と同じ意見の仲間に勇気を与えることができるのだ!バラバラだった小さな声が大きな声に変わるかも知れない!
間違った方向に突き進む危険がある同調の空気が支配する場での、自分はそれは間違っていると思えば同調しない勇気や意志と、いろんな意見が言いやすい場を作り出しておくことも重要なことだなと思います。
参考文献