ぼくらが腕を組む理由

 

さてみなさん、職場の会議の場などで、偉いさんたちから、

「人の話を聞く時は腕を組むな」 

と言われたことはありませんか?

 

僕はあります。

そんなことまで強制されて、いやだなあと思います。

僕が経験した会議は、そのほとんどが聞き手側は話を聞くだけ。一方通行の会議です。そんなつまらない会議なのに、腕を組むなということはどういうことなのか、そんなにイケナイことなのか。

会議などで人の話を聞くときに、ぼくらが腕を組む時の心理状態について、ちょっと調べてみました。

 

 

腕を組んでいる時の心理状態

 

どういう心理状態(精神状態)の時に腕を組むことが多いか調べてみると、

 

不快・警戒・拒絶・緊張などの状態から自分の身を護る

 

という心理状態を現しているらしい。

身を護る。

なるほど、胸の前にバリアを張る。人は不快な時や警戒心を持っている時、本能的に生命維持に大事なところを守っているわけですね。

 

もうひとつ挙げると、

 

寒さへの不快感

 

に対するときにも腕を組むそうな。

たしかに、寒い時も腕を組んだり体をちぢこませたりして熱が逃げないようにしますね。寒いのは不快です。

 

 

結論:ぼくらが腕を組む理由

 

早速結論です。

冒頭の「人の話を聞く時は腕を組むな」に対する答えは、

 

その会議室が、(本来、会議の主役である聞き手にとって)不快な場になっている、拒否したくなる場になっている。

腕を組むな、ではなく、腕を組んでしまうような話をするな、が正しい。

 

自然と腕組みをやめて前のめりになって話に聞き入ったり、積極的に発言できるような会議に改善しようとするのではなく、腕を組むなと強制するのは賢い人のすることではないと思います。

きっと、皆の前で話している偉いさんたちは、聞き手が腕組みをしている光景を見て、「拒絶されている」、「受け入れられていない」、「自分の話に魅力がない」と感じているんだと思います。だから、その不安感から「腕を組むな」と強制してくるんだと思います。

 

その人がもっとリラックスすれば、きっと体の前面を開放する。

私が講義の時よく目にするのは、はじめは腕組みをして聞いていた多くの参加者が、時間が過ぎていくうちにだんだん両腕を自由にしていく光景だ。明らかに、何かの原因がその行動を引き起こしている。たぶん、教室の環境や講師に心地よさを感じ始めるのだろう。

FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)

 

 

自分が話をしている時に、聞き手に腕を組ませたくないんだったらどうしたらいいか、

また、聞き手の多くが腕組みをしていたら、腕組みするやつが悪いと人のせいにするのではなく、そうさせているのは誰なのか、自分が意味のある話・意味のある時間の使い方をできているのかどうか、考えてみるといい。

 

 

FBI捜査官が教える「しぐさ」の心理学 (河出文庫)

という本から一部参考にさせていただきました。

 

 

最後にひと言。

コミュニケーションの研修なんかで教わりがちなのは、ノンバーバルコミュニケーションの重要性。聞き手は話を聞いている時に腕組みはやめましょうとか、相手の話を傾聴しましょうとか、聞き手の立場ではなく、話し手の立場で研修をすすめる。話し手を気持ちよくさせる聞き手の作法についてがメイン。

 

アメリカでの会議風景や講義風景などで見かける光景は(例外も当然あるでしょうけど)、聞き手の姿勢はもっと自由で、足を投げ出して話を聞いている人がいたり、肘をついて話を聞いている人がいたりそれぞれが自分の楽な姿勢で話を聞いている。けれど皆真剣に聞いている。話し手も聞き手も対等な立場のように感じます。全員同じことをしないといけない義務的な集まりではなく、自発的な集まりが話し手・聞き手を真剣にさせているのではないか。そういう環境ってうらやましいなって思います。

 

 

以上、おしまい、ありがとう。