「信頼残高」の功罪

「信頼残高」という考え方の是非を考えてみました。

 

「信頼残高」とは?

 

簡単に説明すると、あなたの信頼度が相手にとってどれぐらいあるか。それを通帳の残高に喩えて表したものが「信頼残高」というものです。

約束を破ったり相手の気持をないがしろにしたりするとあなたの信頼残高は減ります。そうなると人間関係はギクシャクしてしまいます。いいことは一つもありません。

期待を裏切れば減りますし、期待を上回る結果を出せば信頼残高は増えます。

 

 もう少し詳しく知りたい方はこちらを参照

「信頼残高」 | 7つの習慣 | 人材育成・研修のリクルートマネジメントソリューションズ

完訳 7つの習慣 人格主義の回復

 

信頼残高のわかりやすい例を3つあげます。

 

1.A君とB君が宿題を忘れてきた。A君は、まるでのび太のごとく先生にこっぴどく怒られる。

B君はというと、おとがめなし。先生にどうした、具合でも悪かったのか?と心配までされている。

 

これも信頼残高が成せる結果。

A君は今までにも先生の期待を裏切り続け信頼残高がマイナスの状態。B君は今まで宿題はきっちりと提出してきた優等生。先生への信頼残高はたっぷりある。

先生も人間、ついつい差別的?とも言える違った対応をしてしまった。

同じように、仕事で他人と同じミスをおかして、自分だけすごく怒られたことはありませんか?不公平だと思いますか?不公平ではないと思いますか?

 

2.「狼が来たぞォ」と言っても誰も信じてくれず、助けてくれず狼の餌食になった少年。

 

今までウソをつき続けた結果、まわりの人間への信頼残高をすっかり無くしてしまっていたわけです。

嘘をつくことは信頼残高を減らすだけでなく、時に悲劇につながります。

 

3.内閣支持率も信頼残高。

新政権が発足すると、たいてい初めは内閣支持率は高い状態からスタートします。しかし、公約を守らなかったり国民の期待を裏切り続けると、どんどん内閣支持率は下降します。 

いやというほどさんざん見てきたいつもの展開です。内閣支持率も信頼残高と言えます。

 

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http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/5236a.html

 

思考整理

このような事例についてどう考えるべきか。今までの行動を鑑みて色眼鏡で相手を見るということは正しいことなのか。正しくないことなのか。

宿題を忘れてきたA君もB君も、

過去にとらわれること無く、公平に同じ評価を下すことが正義だという気もするし、

積み上げてきた信頼度を考慮した上でそれぞれに別の評価を下すことも正義だと思えます。

 

ここで、確認しておきたいことは、A君もB君もオオカミ少年も内閣も、信頼残高は最初は真っさらだったということだ。

 

コツコツ信頼残高を蓄えていった者、欲望や煩悩に身を任せ先のことを考えず信頼残高を浪費していった者。同じ扱いを受けようと考える事こそが浅ましい!?

   

 

何が正義かなんて簡単には答えが出ないので、考察はこのへんにしておくが、

同じミスでも、こいつだったら許せる、こいつは許せない。だれもが経験したことがある「感情」ではないだろうか。それは理性的な判断できますか?人間、一度ダメという烙印を押してしまうと変なバイアスがかかった状態で物事を見てしまうのではないだろうか。信頼残高(感情)だけに身を委ねていると、時に間違った判断をしてしまうこともあるかも知れません。オオカミ少年も時には本当の事を言うということを我々は知っている。

自分の感情をコントロールしたいときには、この「信頼残高」の話を思い出して冷静に感情と理性のバランスを上手く保っていただけたらと思います。

 一方で、自分の信頼残高を増やしていけるよう、人間関係を積み上げていく事はとても重要であることは間違いない。