顧客満足度を高めたいなら。

顧客満足度を高めたい」

経営者がよく口にする言葉ですね。

そのために、あれをしろ、これをしろ、指示・命令、強制が現場に降り注いできます。

 

アメリカの超一流ホテルのオーナーの話だ。

オーナーは所用があっていくたびか続けて来日した。

そのつど、東京の有名ホテルに泊まった。

あるとき、日本のホテル関係者たちが宿泊の感想を聞いた。

「アメリカに負けないはず」という気持ちがあっての質問だ。

答は期待通りだった。

「すばらしい。仕事は正確だし清潔だし雰囲気も申し分ない」

ただ、このあとに耳の痛い指摘があった。

「しかし、日本のホテルマンは仕事を楽しんでやってないね」

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こういう企業、多いのではないでしょうか。

従業員のことを、顧客満足度を高めるための道具としてしか見ていない企業。

顧客のことしか見えていない企業。

目の肥えた人には見抜かれてしまいます。現場では、アメリカの有名ホテルオーナーが泊まりに来るぞ、いつもより気合入れてけ!なんて号砲が鳴り響いたに違いない。

 

 

従業員満足なくして、顧客満足なし!

 

では、顧客満足度を高めたいなら経営者はどうすればいいか。私が支持する考え方・結論をさっさと言ってしまいます。

それは、従業員満足度を高めることです。

 

従業員満足度を高めることに手を付けず、いきなり顧客満足度を高めようとあれこれ指示・命令を出すのではなく、従業員満足度を高めることに力を入れる。方向性を定める。従業員満足度が低いまま、顧客満足度を高めようとするよりも、まず従業員満足度を高めたほうが遠回りのようで遠回りではない。

 

従業員が楽しく(自分で最善策を考え自律的に)働ける職場であれば従業員はいきいきしだします。従業員一人ひとりから醸しだされる仕事を楽しんでいるという雰囲気が伝わり顧客だって楽しくなります。楽しく働けている従業員が、顧客に対してひどい対応をするでしょうか。やれと言われたから笑顔であいさつをするのではなく、自然と笑顔でのあいさつも生まれます。クレームが減るのはどちらの状態の時でしょう。従業員満足度が高ければ、それだけで高い顧客満足度は後からついてくるのです。

つまり、従業員満足度を高めることが、経営者の仕事なのです。

 

経営者は、全体会議などで従業員に対して、接客に関してのクレームが多いと嘆いたり、顧客満足のためにあれをしろ、これをしろ、と言うのではなく、顧客満足のためには従業員満足が必要なので、従業員満足のためにあれをします、これをします、と宣言するべきなのです。クレームを減らしたいのなら従業員満足度を高めればいいのです。

 

社長の仕事というのはね、社員を幸せにして、「この会社のためにがんばろう」と思ってもらえるような『餅(インセンティブ)』を与えること。

社員がヤル気を出して会社が儲(もう)かれば、分け前をまた『餅』にする。それだけだよ。

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従業員を大切に考えている企業はとっくに始めている。

 

従業員満足度の高い状態、低い状態に関する具体例やその功罪については、またいつかの機会に。