素敵な?選択肢

さてみなさん、お立ち会い。

欲しい物を買うとき、他の商品や他の店と比べて、どこで買おうかと調べて買う。特に高い商品なんかはそうやって慎重に買ったりしますよね。また、松竹梅などのプランが用意されていた場合どれにしようか考えます。もちろん私もそうしています。

 

この店の商品はあの店よりも安い、この価格は通常価格より安い。だから買う。このプランはそのプランよりもこういう点で優れている。だからこれを選ぶ。

自分で選んで買っているわけです。

 

しかし、

 

自分で選んでいるつもりが、じつは選ばされているとしたら?

 

行動経済学を勉強していて、こんな例を見つけました。

今回はこちらの本からの紹介です。 

 

 

エコノミストの三択

 

いきなりですが補足しておくと、エコノミストという雑誌があります。簡単に言うと世界の政治や経済情報などが載っている雑誌です。ロンドンエコノミストと呼ばれています。

www.economist.com

 

エコノミストの年間購読の申し込み書を見ると、

選べるプランは3つ。

 

A. ウェブ版だけの購読・・・59ドル

B. 印刷版だけの購読・・・125ドル

C. 印刷版とウェブ版のセット購読・・・125ドル

 

あなたなら、どのプランを選びますか。

 

これを、マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院生100人に選んでもらったという調査です。

 

よく見ると、BとCのプランが同じ値段です。ああ、きっと雑誌社の記載ミスですよね。

と雑誌社に問い合わせたところ、返ってきた返答は、合ってます。これで間違いありません。とのこと。Cのプランは、ウェブ版はデータを配信するだけだから、印刷版を注文したら無料で付いてくるってことなのか?経費もかからなそうだし…!?

 

Cのプランがお得ですかね。

または、電子書籍が当たり前になりつつある現代ではAのプランを選ぶ人も多いかもしれませんね。

Bのプランを選ぶ人はいますでしょうか。

 

結果は以下のとおり。

 

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A. ウェブ版だけの購読・・・16人

B. 印刷版だけの購読・・・0人

C. 印刷版とウェブ版のセット購読・・・84人

 

さすがに、BとCのプランは同じ値段なので、Bのプランを選ぶ人はいなかったようです。

数年前の調査(この本が日本で出版されたのは2010年)としては妥当な結果とも言えると思います。

 

さて、本題はここからです。

 

Bのプランを選んだのは0人。

だったら、選択肢としてBのプランは外してもいいはずですよね。

 

そこで、死に筋商品であるBのプランを省いて、選択肢をAとCのプランだけにして、もう一度同じように調査をし直しました。

 

A. ウェブ版だけの購読・・・59ドル

C. 印刷版とウェブ版のセット購読・・・125ドル

 

よけいなBのプランが省かれました。値段はそのままです。

どちらのプランにしますか?

 

急に選ぶのが難しく感じたのは私だけでしょうか。

うーん、Cはなんか高く感じるし、印刷版はあきらめて安いAのプランにしようかな……

(先ほどの結果にもありますように、最初からAのプラン一択の人も当然おられるでしょう)

 

マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院生100人が選んだ結果はどうだったでしょうか。

Bはもともと0人だったわけだし、結果は変わるわけない!…はずですよね?

 

しかし、

 

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結果は、

 

A. ウェブ版だけの購読・・・68人

C. 印刷版とウェブ版のセット購読・・・32人

 

最初の3つのプランの結果をもう一度見てみると、

 

A. ウェブ版だけの購読・・・16人

B. 印刷版だけの購読・・・0人

C. 印刷版とウェブ版のセット購読・・・84人

 

Aのプランは16人から、68人にまで増えてしまいました。

 

 

なにが起きたのでしょうか。

 

ここからは、私の考察(というほどたいそうなものではないけど)を交えた、本題の本題。

 

①雑誌社が誰も選ばないであろうBのプランをあえて組み込んだ理由

 

結果、どちらが雑誌社には儲けが多かったでしょう。

値段の高いCのプランが多くの人に選ばれた、最初の三つの選択肢での購読広告ですよね。

しかし、選択肢が二つになると、安いAのプランを選ぶ人が急増しました。多くの人がBのプランがなければAの安いプランを選んだ。

売り手としては、Bのプランをあえて組み込むことで、みごとCのプランを(もちろん全員にではないにしても)選んでもらうことに成功したわけです。買い手は選ばされたとは思っていないばかりか、Cのプランを選んでかしこい買い物をしたとさえ思っている!WIN-WINてやつですね。(くどいようだが、大半の人はAの安いプランでよかったのに)

 

そう、Bのプランは、Cのプランを選はせるための、捨てプランだったわけです。おとり商品とも言います。

商品やサービスを選ぶ際、売り手に誘導されずにかしこい買い物するためには、私たち消費者はこのような仕組みを知っておいても損はなさそうです。

そして、自分が売り手側に立った場合、こういうおとり商品を選択肢に組み込んでおくと買ってもらいたい商品を選んでもらいやすくなります。また、おとり商品が比較される商品やサービスとなるため、買い手が選びやすくなるという利点もあります。

 

 

 

②統計・データの悪用にご用心!?

 

この二つの調査、これが企業が自社商品の宣伝に使うためのアンケートだったらどうでしょう。

結果が180度違いましたよね。初めはCのプランが圧勝。2度目の調査だとAのプランが圧勝。

たとえば、あなたがAまたはCのプランの利害関係者だったとして、世間にアピールしたいとしたら、どちらの調査結果を用いますか?

 

選択肢を少しいじるだけで調査結果が180度変わることもある。世間には統計データを使った宣伝があふれています。そのような統計データは、調査方法や選択肢をいじることでいくらでも操作出来るとしたら怖くありませんか。

恐るべきことに、この二つの結果自体は捏造したわけではありません。事実です。

 

アンケートなどの統計データがいかに不確実なものか。人の行動・考動を変えてしまうようなアンケート結果、何かを買わせようとするための統計データを見た時は、眉に唾をつけるのを忘れないようにしたいものです。(私も統計データを用いる際は気をつけます)

 

以上、買い物にまつわる「素敵な?選択肢」のお話でした。

 

 

<以下は今回の記事に関してのオススメ動画・書籍紹介>

 

www.ted.com

ダン・アリエリー:我々は本当に自分で決めているのか?

 

 

 ダン・アリエリー教授のおもしろく学べる行動経済学

 

 

「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書)

「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ (文春新書)

 

 いつか紹介したいと思っている本

 

 

 色々なタイプの詭弁を分類されて紹介されています

 

 

アイキャッチ用>

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羽生結弦選手のここがすごい!~北風と太陽

さてみなさん、フィギュアスケートですよ。

 

羽生結弦選手が、2016年グランプリファイナルのショートプログラムで見事首位を取りました。

 

www.nikkansports.com

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細かい技術は(まだ浅いファンなので)分かりませんが、長い手足を大きく使い、のびのびと楽しみながら滑走する様にGPファイナル3連覇の王者の貫禄を見ました。

 

 

羽生結弦選手のここがすごい!

 

最初の4回転ループで少し体勢を崩したとき、すこし照れ笑い。

最初に少し軽いミス、体勢を崩してしまった事で、緊張がほぐれたらしい。その後は、観客へのサービスも行う余裕が生まれていました。

 

「すごく緊張して、久しぶりに手足が震えるほどでした。最初の4回転ループは減点がつくすごく汚いジャンプでしたけど、降りることができました。(中略)

もし最初の4回転ループがきれいに決まっていたら、『ノーミスをしなければ』と思って余計緊張したと思いますけど、あのジャンプだったから、ある意味緊張がなくなりましたし、そこから速いビートであったり歌詞であったりを考えることができました。

GPファイナルSPで羽生結弦が言う「プログラムの成立に不可欠なもの」|フィギュア |集英社のスポーツ総合雑誌 スポルティーバ 公式サイト web Sportiva

 

なるほど、前向き。

マイナスをプラスに変えるメンタルの強さも伺えるコメントです。

 

同記事によると、

その意味では「観客なしでは成立しないプログラム」(羽生)であり、観客との一体感や距離感に関しては、ほぼ納得の演技ができたNHK杯で殻を破れた手応えもあった。

だからこそ、今回のGPファイナル「より楽しみながらできた」と言えたのだろう。

 

より楽しみながら出来た。

演技後のインタビューでも、フリーの演技に向けて「楽しんでやりたい」ということもおっしゃっておりました。

 

「ミスをしないように」とか、「ベストを尽くしたい」とか、そういう気持ちもあるだろうけど、「楽しんでやりたい」と言える羽生選手がやっぱりすごいなと、印象に残りました。

 

ますます、フリーの演技も楽しみになってきますね。

 

 

感想はこれぐらいにして、

ここから話は、少し主張めいた方向へ。

 

 

北風と太陽

 

「楽しんでやる」ということについては、フィギュアスケートに限らず様々な業界でも結果を残すには重要な事で、それは職場でも同じ。

僕がかつて読んだ本から、例は少し古いですが、こんなエピソードを紹介したいと思います。(見にくくてすみません)

 

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 「仏の上司」になれますか? - 金平敬之助 - Google ブックスプレビュー(宣伝ページ)より引用。

別にこれが星野監督の全てではないとは思いますが。結果、リーグ優勝も2度しましたし。

 

「鬼」と呼ばれる指導者は職場や世間にはまだまだたくさんいます。

「鬼」のもとで成功したり、「鬼」と呼ばれる指導者に感謝している人もいるでしょう。だから、悪いとは言いません。

 

しかし、 

やるべきことを、すすんで「楽しく」やらせる。

僕は、そのほうが大きな結果が出ると考えています。

目指すは、「北風」のように命令・強制型ではなく、楽しいから自らすすんで行動してしまう環境を作るのが上手な「太陽」のような上司。

 

スタッフたちに、仕事が楽しいと言ってもらえる環境作りに励みたい。羽生選手の演技、コメントを見て改めてそう思ったのです。

 

以上。

 

 

<関連過去記事>

 

parm.hatenablog.com

  

 

 

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https://ttrinity.jp/sp/product/1841408

 

 

12月5日は、国際ボランティア・デー

さてみなさん、今日12月5日は、

『国際ボランティア・デー』らしいです。

 

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12月5日 今日は何の日〜毎日が記念日〜

 

 

無償で奉仕活動をするのがボランティア。

《志願者の意》自主的に社会事業などに参加し、無償の奉仕活動をする人。

 ボランティア【volunteer】の意味 - goo国語辞書

 

 

以前読んだ本に、社会規範市場規範について書かれていて、それが、ボランティアとも関係している話だったので、そのことについてかるく紹介したいと思います。

 

 

まず、社会規範と市場規範とはどういうものか。

 

人は、助け合いの精神と金儲けを切り離します。
社会規範とは、助け合いの精神のことで、誰かが困っていたら無償で助けようとする精神です。
市場規範とは、まさにビジネスで、労力に見合うだけの対価としてお金を貰うという考えです。


会社に遅れそうな友人がいて、好意で会社まで車で送ったのに(社会規範)、友人から千円を渡されれば(市場規範)がっかりするのではないでしょうか。
「社会規範」と「市場規範」は、基本的に、同居できないのです。

ビジネスでは「市場規範」「社会規範」の選択は重要

 

人の役に立てて、その上お金ももらえるなんてラッキー!と思う人もいるかもしれませんね。そこは人それぞれ。

(じゃあ次はもっと遠くまで送ってあげたら今度はいくらくれるんだろう、なんて考えてしまうのも人間の感情ってやつです)

 

今回はボランティアについてのお話なので、市場規範よりも社会規範だと成功したという例を2つ紹介したいと思います。

 

 

0ドルのほうが、30ドルよりも魅力的!?

 

数年前、全米退職者協会は、複数の弁護士に声をかけ、一時間あたりに30ドル程度の低価格で、困窮している退職者の相談に乗ってくれないかと依頼した。弁護士たちは断った。


しかし、その後、全米退職者協会のプログラム担当者は素晴らしいアイデアを思いついた。

困窮している退職者の相談に無報酬で乗ってくれないかと依頼したのだ。すると圧倒的多数の弁護士が引き受けると答えた。

予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)より

 

なんと、0ドル(無報酬)が、1時間あたり30ドルの報酬に勝ったというのだ。

弁護士にとって、一時間当たり30ドルなんて、はした金だったのでしょうか。

または、社会規範(ボランティア精神)が彼達をそうさせたのでしょうか。

報酬が低価格ではなく、もっと多ければビジネスとして相談を受けていたかもしれませんね。

 

ちなみに、この本の中では、こう解説されています。

実は、お金の話が出たとき、弁護士たちは市場規範を適用したため、市場での収入に比べてこの提示金額では足りないと考えた。

ところが、お金の話抜きで頼まれると、社会規範を適用し、進んで自分の時間を割く気になった。

30ドルもらってするボランティアと考えてもよかったはずなのに、なぜ30ドルでは承知しなかったのだろう。

考えのなかにいったん市場規範がはいりこむと、社会規範が消えてしまうからだ。

 

私のような人間は、「30ドルもらってするボランティア」の方に目がくらみそう……

 

 

稽古代

 

先ほどの、

(考えのなかにいったん市場規範がはいりこむと、社会規範が消えてしまうからだ。)の続き。

 

コロンビア大学の経済学教授ナフク・シヘルマンは身をもってこれを体験した。

日本で剣道を学んでいたとき、シヘルマンの先生は生徒たちから稽古代を集めなかった。

それでは申し訳ないと、ある日生徒たちは、先生の時間と労力に対して謝礼を支払いたいと申しでた。

先生は竹刀を置くと、自分の稽古代は高すぎてあなたたちでは払えないだろうと穏やかに答えたそうだ。

おなじく、予想どおりに不合理: 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)より

 

 

これまた、ボランティア精神(社会規範)が、ビジネス(市場規範)に勝ったわけですね。

それにしても、お金の話を持ちだされたとき、先生の心境はどんなものだったのか、がっかりされたのではないかなと想像してしまいます。

 

 

お金のことは考えず、ただ好きだからという理由でしていたこと、ただやりたいからやっていたことにお金が結びついてしまうと、せっかくの社会規範での行動が市場規範へと移り変わってしまう。 

ボランティアのつもりが、報酬をいただいてしまったばっかりに、次は何をくれるのか期待してしまう。

ちなみに、報酬と言っても、それが金銭かモノかでもモチベーションが変わってくるらしいです。

 

以上、簡単ですが、ボランティアと社会規範と市場規範について。

良い悪いは別にして、この考え方を知っておくと、なにかと役に立つのではないでしょうか。

 

 

 

 

 ▲他にも様々な例が掲載されいます。機会があればまた紹介したいと思います。

 

 

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12月5日は世界ボランティアデー – KINGSOFT アレコレ

 

ずるくない人

 

dictionary.goo.ne.jp

 

さてみなさん、だれでも『ずる』をした事があると思います。

別に犯罪に関わるようなものでなく、軽いずるなんて生活していく上であちこち溢れていると思います。ちょっと仕事をさぼってみたり、ニュースを見ていても政治や経済など様々な分野でもずるが無いとは言い切れない。

例えば、こういうジョークがある。

8歳のジミーが、学校の先生から手紙をもらってきた。

「ジミーは隣の生徒から、鉛筆を1本盗みました」

父はカンカンに怒った。ジミーにこんこんと説教し、自分がどんなに驚き、がっかりしたかを話して聞かせ、二週間の外出禁止を申しわたした。

そして、父は最後にこう結んだ。

「それにジミーや、鉛筆がほしいなら、そう言えばいいじゃないか。なぜ父さんに頼まない?鉛筆くらい、職場から何十本だってもって帰れるのを知ってるだろう?」

 ずる――?とごまかしの行動経済学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)より

 

 

閑話休題

 

タイトル通り、今回は、ずるをしなかったある有名な逸話を紹介したいと思います。

 

アメリカの伝説的ゴルファー、ボビー・ジョーンズ氏をご存知でしょうか。

ゴルフをやらない人には馴染みがないかも知れませんね。私も知りませんでした。

 

ゴルフには基本的には審判がいません。

打ちにくいラフで誰も見ていないからといって少しボールを転がしてみたり、木が邪魔な時は少しボールをずらしてみたりしようと思えば出来ます。

だからといって普通そんなことはしませんよね?ゲームの楽しみが損なわれてしまいます。

 

たとえば、ボールを打ちやすくするためボール周辺の環境を整えていた事が原因で、打とうとした時に草の動きで意図せずボールがほんのちょっと動いてしまったら?

さて、一打として打数に加算しますか?

 

 

 1925年の第29回全米オープン

 

11番ホール、ボビー・ジョーンズの放ったティーショットはグリーンを外れ、横にあるマウンドの急な坂の途中に止まりました。そのボールをプレーするべくスタンスを取り、アイアンクラブがラフの草に触れたとき、微かにボールが動きました。

ボビーは、そのわずかな動きを誰も見ていなかったにもかかわらず、「アドレス後にボールが動いた」と申告し、自分に1罰打を科してプレーを続けました。

このペナルティーもあり、全米オープンプレーオフで敗れました。同伴プレーヤーだったウォルター・ヘーゲンは「誰も見ていないので、ペナルティーの必要はない」と進言したそうですが、ボビーは頑として聞き入れませんでした。

この試合後、全米ゴルフ協会にはボビー・ジョーンズの“正直な申告”に数千通もの賛辞の手紙が舞い込ました。

それがボビーには心外だったらしく、「私が銀行で金を盗まなかったからといって誰も褒めないでしょう?ゴルファーとして当然のことをしたまでです。自分を騙すぐらい悲しいことはありませんから」と言って応えたものだから、世界中のゴルフファンは改めてボビー・ジョーンズの「ゴルフを大切にするフェアプレーの精神」に深く感銘を受けて、当時のゴルファーは、みんなボビーの虜となりました。

ゴルフの「球聖」ボビー・ジョーンズに学ぶ「正直」の効用 - 谷光高 [マイベストプロ大阪・和歌山]より

 

 

なんと、同伴プレイヤー(つまり対戦相手)までもが一打に入れなくてもいいよ、と言ってくれたにも関わらず、ボビー・ジョーンズは聞き入れなかった。

このエピソードが賞賛されたほどなので、当時はおそらくそういう場合は一打に加えなくても構わないという、暗黙の了解、共通意識が存在していたのかもしれない。対戦相手の発言からもそれが伺える。

(その後のルール改定で今回のようなケースでは一打に加えなくて良いということになったようです。)

 

もし審判がいたとしたら、どうだったでしょう。そして、審判もボールがかすかに動いたことに気づいていなかったとしたら。私だったら……

審判がいないからこそ、ずるはしない。審判は自分。ゴルフが紳士のスポーツであり、最大の敵は自分であると言われている由縁が垣間見れたような気がしました。

 

監視者(審判)がいないからこそずるをしない。監視者は自分であり、良心の葛藤が不正を律する。

逆に、監視者がいれば、監視者にバレなければずるはOKという空気になってしまう。そのような皮肉っぽさが、誰もが持っている正直者ごころをくすぐる話ですね。

 

人は環境に流されてずるをする。性悪説であることは否定しません。だからこそ性善説という言葉が今でも信じられているわけで。

大それたことを言うつもりもありません。ただ、自分に正直に行きていければとそう思えるエピソードでした。

 

 

 

最後に、ボビー・ジョーンズ氏名言の名から一つ紹介

 

  ゴルフには、トーナメントゴルフとゴルフがある

 

 「トーナメントゴルフではただの1打も気をゆるめてはいけない。
ただの一度もだよ。
たった1打の差で勝ったり負けたりするのだから、
ほんとに全ショット、全神経を費やし集中してプレーするのだから、
そんなゴルフって楽しいかな?
仲間と語らったり、いいショット、悪いプレーに
一喜一憂しながらラウンドするのが、本来的なゴルフじゃないか……」

 ボビー・ジョーンズ語録、名言集 | ゴルフダイジェストTVより

 

  

 

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 ボールが動いた時(ルール解説)より

 

 

ボビー・ジョーンズ ~球聖とよばれた男~ [DVD]

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ずる――?とごまかしの行動経済学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

ずる――?とごまかしの行動経済学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

 

 

【東京観光】 上野巡り。ゴッホとゴーギャンに魅せられて

今回の記事は、上野探索です。

関西人 in Tokyoアメ横、上野公園を巡りました。

 

▼前回の記事  

parm.hatenablog.com

 

 

上野・アメ横

 

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 ▲二日目も快晴。まずは再び浅草寺

浅草寺は、聖観音宗という宗派みたいです。どこかで聞いた宗派だなあと思っていたら、以前書いた、三重県津市にあるパラダイス、大観音寺が聖観音宗。その総本山が浅草寺

あさくさかんのん| 浅草寺 せんそうじ

 

parm.hatenablog.com

 

参拝を済ませ、朱印も頂き、浅草ラスクでおみやげを買い、次は上野へ。

上野駅すぐ、アメ横に到着。アメリカ横丁かと思っていました。アメヤ横丁だったのね。

 

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Google マップ

 

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アメ横かっぱ寿司発見!?午前中だったためか閉まっていました。

たこ焼き屋さんで、羽根つきたい焼きを食べました。が、たい焼きと思ったらクロワッサン。カスタード入りの冷たいクロワッサン。

土曜日のアメ横は賑わっておりました。 靴屋さんの多さにびっくり。

写真もっと撮っといたらよかった。。

 

 

上野公園

 

 

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▲上野公園の、上野東照宮

津藩主藤堂高虎天台宗僧侶天海僧正により徳川家康を祀るために創建されたそうです。

上野東照宮公式ホームページ

 

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▲記念に頂いた朱印。そして紅葉と五重塔

 

初めての上野公園。上野動物園ぐらいしか連想できていなかったのですが、芸術の街だったんですね。そこかしこに美術館や博物館、そして東京芸大がありました。

 

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http://members2.jcom.home.ne.jp/tokyo-nakamura/tiikijyouhou47.htmさんから。

 

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▲またまたお寺を発見。

不忍池にある寛永寺(天台宗)。

先ほどの上野東照宮と同様、天海僧正が関わっている寺院です。

トップページ | 東叡山 寛永寺 公式ホームページ

お約束の朱印もゲット。

 

 

ゴッホゴーギャン

 

時間的に余裕があったわけではないのですが、上野公園にある東京都美術館ゴッホゴーギャン展をやっているという情報を得て、とりあえず様子を見に行ってみることに。(ちなみに、アメ横からずっと40のおっさん二人での行動ですよ。なんというゴッホゴーギャン。お互いが、こいつがおにゃのこやったら~って思っていたことが判明した時はふたりで笑い泣き)

 

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幸い、入館待ち時間は無く、高くもなく安くもない当日券1,600円という入館料。

めったにない機会だし入ってみるか、ということで中に。

音声ガイドも別料金であったのですが、どうせ、パネルの説明文を読み上げているだけだろうと思い、それは無しにしたのですが……後から知ったところによると、その音声ガイドは、小野大輔さんと杉田智和さんが担当されていたそうです。ツイッターで検索してもこの音声ガイドを絶賛している方が多く見られました。音声ガイド事情も変わってきているんですね。

 

展示されている絵画は約60点。ゴッホゴーギャンの作品だけでなく、二人が影響を受けた画家の絵も展示されていました。

ゴッホゴーギャンが精力的に絵を書いていたのは、1800年代後半から1900年代にかけて。キャンバスも貴重で高価だったのでしょう。板に書かれたものや、厚紙に書かれたものもありました。

美術の教科書で見るのとは違い、油絵の立体感も臨場感が出ておりましたし、その描かれた時代の空気感がすごく良く伝わってきました。

特にゴッホは、貧しい農民や工場(こうば)で働く庶民の日常を描く事を重要視していたんだなあ、ということもよく分かりました。したがって、暗い。とにかく暗い。自画像なんかの背景の色なんかは自由に描けるはずなのに暗めの色で描かれているものがほとんど。そんな時代感やうまくいかない自分へのいらだちのようなものも伝わってきます。暗い中に希望が隠れているのか、僕にはそこまでは読み取れなかったです。

とにかく、ゴッホゴーギャン、二人が影響しあっていたことがよく分かる展示でした。

館内はかなり混雑していて、時間もなくじっくり鑑賞できませんでしたが、それでも観にいってよかったと思います。

 

 

ちょっと東京に行っただけで、浮かれ気分で予定をあれこれ詰め込んでしまう。僕の悪い癖。

まだまだ行きたいところだらけ。 

東京ゲーテ記念館も今度いけたらいいなあ。

 

以上です!

 

 

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寛永寺浅草寺で頂いた朱印

 

 

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ゴッホとゴーギャン展

 

 

 <過去関連記事>

 

parm.hatenablog.com

 

  

< おまけ>

 

関西人 in Tokyo

関西人 in Tokyo

 

▼動画!

 【PVを作ってみた】関西人 in Tokyo / 種浦マサオ 音楽/動画 - ニコニコ動画

 

 

【東京観光】 屋形船で隅田川、東京湾クルージング!

東京でめずらしく11月に初雪が観測された翌日。

一泊二日、大阪から出張で東京へ。

 

両国での仕事を片付け、いざ、東京観光。

メインは初めて乗る屋形船。推して参るッ!

 

と、その前に、東京へ向かう新幹線から、富士山が綺麗に見えました。

 

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屋形船体験!

 

日は暮れて、雲のない夜空。絶好の屋形船日和(寒いけど)。

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▲浅草・桜橋乗船場から出航

 

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▲船着場。もっと古風な感じの屋形船をイメージしていましたが、派手に光ってます。

船の上が展望デッキになっています。

 

今回お世話になったのは、「あみ達」さん。

www.amitatsu.jp

豪勢に貸し切りです。

 

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▲舟盛り!メインの天ぷらは揚げあがったものからどんどん運ばれてくるシステム。

ドリンク・アルコールは飲み放題。

 

船は東京湾へ。

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▲お台場。他にも多数の屋形船が出ておりました。

こちらでしばらく停泊。観覧タイム。

 

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▲レインボーブリッジ

 

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▲おなじみ、スカイツリー

船が揺れるのでうまく撮れませんでした(酔ってただけかも)。

 

約2時間半の隅田川・東京湾クルージングでした。

屋形船なんて、一生縁がないものと思っていましたが、人間生きてれば色んな楽しいことがあるんですね。今年は、フィギュアスケートも観覧させてもらいましたし。

 

 

そして、東京観光は続きます。

 

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▲夜の雷門。

 

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▲第二ラウンドは浅草の海鮮浜焼き「磯丸水産」。店内は熱気ムンムンです。 

かにみその甲羅焼きが絶品。あと、突き出しのオオナゴも美味しかった。

 

www.isomaru.jp

 

 

宿泊は、浅草のビジネスホテル。

朝食バイキングの黒カレーが美味しすぎました。 

ほんと、美味しいものに恵まれた。

 

二日目は、上野を散策。

今回の投稿はこのへんで。

 

関西に住んでいるため、東京散策が新鮮で面白い。

まだまだ行きたいところはいっぱいありますな~

 

 

 <過去記事>

parm.hatenablog.com

 

こころの受け皿

さてみなさん、

自分にとってはコレつまらないなあ、良さがわからないなあと思えてしまう映画や小説、または音楽、スポーツや食べ物に至るまで様々な事柄についてネガティブな意見を抱くことがあると思います。

 

つまらないものはつまらない。

そう感じて切り捨てていたはずのものが、ある日、その良さに気付いてしまう。そんな経験が誰にでもあると思います。

 

たとえば、子どもの頃は、相撲中継を見るのが退屈だったり、落語の面白さがわからなかったり、クラシック音楽や演歌に興味がなかったり、お葬式でお経を聞くのが苦痛だったり、時代小説の面白さがわからなかったり、食べ物で言うと、納豆が食べられなかったり、マスタードが苦手だったり、他には、異性への好みにうるさかったり。とにかく、かつて自分には合わないと思っていたものが、今はその良さが分かる。好きになってしまった。ということ、僕にもあります。

 

今その映画が流行ってるの?ワシには合わん!

今そのユーチューバーが人気なの?良さがわからん!

 

など、よく目や耳にします。

今、自分がそう思っていることを主張するということに対して否定はしません。

僕だって、つまらんもんはつまらんって言いたいですし。

 

しかし、かつて苦手に思っていたものが今はその良さが分かることもある。

ということは、今、苦手なものでも将来好きになるかもしれない。

 

「受け皿」という言葉でうまく表現されているこんな話を聞きました。

それが今回のテーマであり、その内容とは以下になります。

 

荻上チキさんの番組にゲストで出演されていた音楽評論家の萩原健太さん(還暦を迎えられたそうです)が、人の好みの変遷について少し言及されており、なるほどと、ひざを打つような話をされていたのでご紹介。

 

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ちょっと聞いてみようと思う人は、2:00~9:00ぐらいの部分がそれに当たります。

 

その中から少し箇条書きをしてみます。(だいたいのニュアンスですが)

 

  • 出会う人に対して、自分にはない素敵さを見つける目が養われてきた。
  • これまで、嫌いだ、つまんないと思っていたものがあったが、それは、良さをわかっていなかっただけ、自分の受け皿が小さかっただけだったことに気付いた。かつて嫌いだった人に対してもそうだし、音楽や映画、小説もそう。
  • 昔切り捨てたものにもう一度触れてみると、あの時気づかなかったけど実はこうだったのかという再発見がある。つまり、年数が経って自分の受け皿が広がっていたというわけ。
  • かつて、つまんないと言っていたものが良いものであることに気付いた時、本当につまらないのは、そう言っていた自分だったことに気付いた。
  • 最初からそのものの良さに気付ける人もいるが、われわれ凡人は、ちょっとずつその受け皿を広げていくしかない。
  • 食べ物のミョウガとか、子どもの頃はよう食べられなかった。でも今は好きなわけで、そういうのがいっぱいある。
  • もちろん、自分の受け皿が広がってもどうにもならないものもある。しかし、つまんない、良くない、というのは、わからないだけ。そう思うようにしている。

 

普通やん当たり前やんと感じる内容かもしれませんが、

様々ある作品などの良い悪いの判断は、自分が持ち合わせている「受け皿」の大きさがどうなのか、という表現を使っておられるところがわかりやすかったです。

 

それと、つまらないと思える作品に出会った時、作り主に対してだけではなく、自分の受け皿についても考えるということは、悪いことではないと思います。

 

かつて嫌いだったものが好きになる。そんな受け皿の広がりを感じながら生きてこ。

 

 

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画像:http://mlpg.com.au/a-beginners-guide-to-negative-and-positive-gearing/