「データを見て人間を見ない」という成果主義について

 

ひと言の思いやり(金平敬之助)という本を読んでいますが、

金平さんが入院したときに感じたことを振り返ってこう書かれてある。

 

データを見て人間を見ない

 

人間に興味をもたない人は医師になってはいけない。職場のリーダーにもなってはいけない

 

 

そのページを読んで思ったこと。

なぜ、それらの人はデータを見て人間を見ないのか。

 

 

職場のリーダー(上司)には、「データを見て人間を見ない」、こういう人が多いのではないでしょうか。

数字ばかりを追って人間を見ない。

売上が悪い。客数が落ちている。クレーム件数が改善されない等など。

 

 

数字が悪かった場合、悪かった原因を一生懸命に探す。

カテゴリーなどを分解して分解して、悪い数字を見つけて対策を打とうとする。

けれど数字はなかなか改善されない。なぜか。

 

人間を見ていないからだ。

 

売上や客数などの数字は人間が作るもの。現場従業員たちのことだ。

この視点がすっぽり抜け落ちている。

「数字が悪い?現場従業員たちは毎日楽しく働けているだろうか。」

すぐにこう考えてくれる上司はいるだろうか。

 

現場従業員が毎日楽しく働けていれば売り場が爽やかになる。買いやすく相談しやすい売り場になれば顧客は常連客になってくれリピート率はアップするはず。ならば売上もあがるし、接客によるクレームも減る。

ああしろ、こうしろと指示・命令ばかりの職場はちっとも楽しくない。

 

 

ロジカルシンキング用語でWHYのツリーというものがある。

結果に対して、なぜ?それはなぜ?それはなぜ?それはなぜ?となぜを繰り返し、結果からさかのぼり考察する手法だ。

例えば売上や客数、クレーム数など、このWHYのツリーを行うと大抵の場合、最後は「人間」にぶち当たる。

良い結果からさかのぼった場合、「従業員たちが楽しく働けているからだ」

悪い結果からさかのぼった場合、「従業員たちが楽しく働けていないからだ」

という結論が見えてくる。

そしてさらにその原因は「社風だったり、会社が従業員に寄り添う気持ち、守ってくれている感、心から感謝してくれている感」だったりする。

悪い結果が出ている会社は多くの場合、軍隊のように自律型よりも管理型の組織になっている。スタッフを信用せず、指示・命令で統率することが社風となっている組織。

結局、数字が悪い原因は会社の体質でした、なんて結論になると上層部は困るから、人間を見ることをわざわざしない。

 

  

会社の発展を長期的に考えた場合、成果主義で、数字ばかりを重視することが全て正解ではない。

 

「人間を見る(観る)」のは難しい。

その難しい、めんどくさいことに時間を使うことが上司、上層部の役目だと思っている。