ひめゆりの乙女たち

 

ひめゆりの乙女たち」という本を読みました。

ひめゆり学徒隊の話を中心に、沖縄戦の悲惨さについて淡々と記載されています。

僕にとって衝撃的だったところをいくつか振り返っておきたいと思います。

 

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母と子でみるひめゆりの乙女たち

 

 

離島の悲劇

 

沖縄戦の凄惨なできごとの一つに、いくつかの離島でおこなわれた非戦闘員の集団自決がある。

米軍が上陸すると、日本軍守備隊が住民に、「軍の行動をさまたげないため、また軍部隊に食料を提供、確保するため、いさぎよく自決せよ」と命じ実行させたもの。

 

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日本軍が、離島の住民たちに軍のために自決を命じたとある。

この本の中で、仲宗根政善さんが、

『どんな理由があっても戦争は許せない。生命が最上のものだ。生命のなかにこそ最上の価値がある。国を守るとはいったいどういうことか。国民の生命を守らずして、何を守るのか。

とおっしゃっていますが、まさに何を守っていたのか。

仲宗根政善とは - はてなキーワード

 

 

米軍・日本軍による二重の犠牲

 

日本軍により殺されたり、自決を強いられた人も少なくない(全体で800人を超える)。沖縄方言でしゃべっていてスパイと疑われ殺された人、銃剣で脅かされ壕を追い出された人、「敵に知られる」としかたなく泣き叫ぶ赤ん坊を手にかけた母親など、沖縄本島だけでなく、周辺の離島をふくめ、いくつもの惨劇が起きている。

 

また、別の章にもこうある。

 

糸洲の第二外科壕は米軍の馬乗り攻撃にあい、学徒隊は夜の暗闇に乗じてかろうじて脱出した。

馬乗りされ、米軍の降伏勧告があった時、応ずれば背後から日本軍に撃たれ、応ぜず抵抗すれば米軍の爆弾投下や火焔放射で殺されるといった壕もあちこちであった。

馬乗り攻撃とは▼

 キーワード沖縄戦(37)馬乗り攻撃 | 沖縄タイムス+プラス ニュース | 沖縄タイムス+プラス

 

 

鉄血勤皇隊(男子学徒隊)

 

沖縄師範学校(男子部)と県下中等学校九校の生徒たちは、昭和二〇年三月、日本軍司令部の命令を受けて鉄血勤皇隊に組織され、入隊した。県立第一中学校では入隊に先がけ、371人の隊員全員が遺書を書き、遺髪を残した。

四月一日に米軍が上陸すると、地理に明るく、若さの敏速さを活用されて、学徒隊員は兵士同様、あらゆる戦闘任務を課せられた。

 

最終的に、男子学徒890人が帰らぬ人となったとのこと。

ただそこに住んでいただけということで、中高生の子どもたちが米兵との殺し合いをさせられた……

 

 

知らないことだらけだった

 

この本を読んで、つくづく僕は戦争について、沖縄戦について知らないことだらけだったなということを思い知らされました。

それまで普通に暮らしていたのに、急に戦争に巻き込まれ、怖い思いをし、目の前で仲間が吹き飛ばされ、焼かれ、犠牲になっていった。各地で行われた空襲、原爆投下。罪のない多くの国民が犠牲になった。

 

国を守るために犠牲になっていった尊い人々がいたおかげで、今の(平和な)日本がある。といった意見に出会うこともあるが、本当に犠牲になる必要があったのか?その方たちが犠牲になったから今の(平和な)日本があるのか?そういうことにしておかないと亡くなっていった人たちが浮かばれない?そんなふうに思っていたら、また同じ過ちを繰り返すんじゃないのか?遺族の気持ちは?これからも日本に住んでいくからには、どういう国になってほしい?

ものすごく考えさせられました。もっと知りたいと思いました。

 

 日本が敗れ配られた「生命を助けるビラ」(上)と、米軍に配られたビラ(下)。

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